【作品の飾り方】木製パネルの絵画を壁に飾る方法|角材、コマンドタブ、クッションテープでアートを飾ろう!

吊り金具や吊り紐などの掛け具がなく、立て掛けて飾るしかなかった木製パネルの作品。
その作品、壁掛けしたい!と思ったことはありませんか。
今回は凹凸のない滑らかな壁に対して使える、角材と両面テープのコマンドタブ、クッションテープを用いた絵画の壁掛け方法を紹介します。
作品裏面の木枠にある程度の奥行きがあれば、掛け具がなくても絵画を壁に飾れます。
角材を切る少しのDIYは必要ですが、オリジナルの掛け具を使って壁掛けできた時の感動はひとしおです。
立て掛けから壁掛けへ、木製パネルの作品を自由に飾ってみましょう。
木製パネルの作品は「角材と両面テープ」の2つ掛けがおすすめ
木製パネルを使った絵画の中には、吊り金具や掛け紐といった「掛け具」がついていない作品があります。

作品に吊り金具を取り付ければフックで壁掛けができますが、それは作品を傷つけるようで気が引けます。
そこでおすすめなのが、角材と両面テープのコマンドタブを使った2つ掛けです。

角材による2つ掛けのメリットは3つあります。
- 作品と壁の両方を傷つけずに飾れる
- 角材1つよりも振動に強くなり、作品の安定性が高くなる
- ひとつの角材にかかる負荷を1/2に分散でき、2kg未満までの重さの作品を飾れる
1つ掛けでも飾れますが、角材2つ分が入る幅があれば、2つ掛けがおすすめです。
木製パネルの作品を壁に飾る前に確認したいこと4つ
1. 作品裏面の木枠に「2cm以上の奥行き」があるか確認
フックによる壁掛けとは異なり、角材に木枠を掛けるためにはある程度の奥行きがないと、ちょっとした衝撃で作品が落ちやすくなります。
そのため、作品の木枠に2cm以上の奥行きがあると安心です。
ちなみに、キャンバス作品を飾りたい場合は、キャンバスに角材が当たらない範囲で、2cm以上の奥行きを確保できるか確認しましょう。
2. 両面テープの「コマンドタブ」が貼れる壁か確認
両面テープのコマンドタブが貼れる壁を選ぶ必要があります。
ちなみに、塩ビ性壁紙面用のコマンドタブもありますが、フック利用前提の商品なので、角材利用時の耐荷重量は不明です(参考:金具の掛け具の場合400gまで、掛け紐の場合800gまで)。
もし塩ビ性壁紙で利用する場合は、作品の重さに耐えうるか確認した上で利用するようにしましょう。
3. 作品の重さは「2kg未満」か確認
作品の重さが、両面テープのコマンドタブ耐荷重量の範囲内かを確認しましょう。
安全を重視する場合は、作品の重さに対して2倍以上の耐荷重量があるのが理想的です。
今回使用する両面テープのコマンドタブ(Lサイズ)の耐荷重量は2kgなので、
- 角材1箇所で壁掛けする場合は「1kg未満」の作品
- 角材2箇所で壁掛けする場合は「2kg未満」の作品(ひとつの角材にかかる負荷が1/2に分散できるため)
までであれば、安心して壁掛けができます。
正確には掛け具となる角材の重さも含めて考えていきます。
参考に、今回使用したウォールナット角材は
「3.5 × 3.5 × 40cm」で「約300g」 → 「3.5 × 3.5 × 7.5cm」で「約57g」
なので、2つ掛けの場合、作品の重さは「2,000g(2kg) ー 57g × 2 」を計算した「1,886g」までとなります。
4. 飾る場所の「環境面」を確認
飾る場所によっては作品の劣化につながる可能性があります。
作品にとってダメージの少ない場所に作品を飾りましょう。
気をつけたいポイントについては、以下記事にまとめています。

居住空間ですべてをクリアするのは難しいですが、可能な範囲で場所を選んでみましょう。
木製パネルの作品の壁掛けに用意する道具
木製パネルの作品の壁掛けのために用意する道具は以下の通りです。
家にあるものもうまく使いつつ、必要なものだけ準備しましょう。
- 角材(作品を掛けるフック的な役割で使用、無垢材がおすすめ)
角材は両面テープが貼れる滑らかな面の角材を選びます。
ネット注文する場合は、サイズ選択範囲が広い「木っ端クラブ」が選びやすかったです。
モルダー仕上げで凹凸のない滑らかな面に整えられていて、両面テープも貼りやすいです。
今回選んだウォールナットは焦茶色でやや重みのある丈夫な角材で、作品をしっかり支えてくれます。
明るい色が良い場合は、ビーチ(ブナ)などの角材もあります。
もし近くにホームセンターがあって、用途と角材の寸法を伝えたら切り出してもらえる環境であれば、自分で角材を切る必要がなくなります。
ちなみに、合板は時間経過や湿度によるアクの発生などで作品に影響を与える恐れがあるため、無垢材がおすすめです。
- のこぎり(角材を必要な長さに切るために使用)
家にのこぎりがない場合は、コスパの良いのこぎり「パイプソー」がおすすめ。
持ち手がガンタイプで滑りにくく、狭い場所でも片手で切りやすいです。
販売上は塩ビパイプ用ですが、木材も切れ味抜群。
力に自信のない人にも使いやすいと思います。
切る際は、角材を押さえる手に軍手をはめて、怪我をしないように注意してください。
- 両面テープ(角材と壁を接着するために使用)
作品の重さと角材の幅によって、Lサイズ(耐荷重量2kgまで、1.9 × 9.3 cm)、Mサイズ(耐荷重量1kgまで、1.6 × 7.0 cm)、Sサイズ(耐荷重量400gまで、1.6 × 4.6 cm)が選択可能。
今回は最も重さに耐えてくれるLサイズを使います。
- クッションテープ(揺れによる作品の落下を抑えるために使用)
角材を掛け具にした壁掛けに、安定感を加える一工夫アイテム。
これがあるだけで、壁掛けの安定感が向上します。
詳しい使い方は後ほど。
- 水平器(角材の取り付け位置や作品が水平かどうかを見たい場合)
2つ掛けの場合、角材を「水平」かつ「同じ高さ」に取り付けるのが必須条件です。
より正確に・簡単に取り付け位置を調整したい場合はレーザー墨出し器も便利です。
今回の実例では簡易的に、水平器はシルバーコンパスで代用してます。
- メジャー(巻尺部分が硬い素材で、ストッパー付だと使いやすいです)
- マスキングテープや付箋など(掛け具の取り付け位置の目印用に貼れるもの)
マスキングテープの方が壁にしっかり貼れるのでおすすめです。
今回の実例は付箋で代用してます。
- コットン手袋(作品に皮脂や指紋を付けたくない場合に使います)
手汗や皮脂は、作品を汚す要因になります。
手袋をつけることで手を滑らせやすくなる作品でなければ、コットン手袋着用をおすすめします。
木製パネルの作品の飾り方(角材、両面テープ、クッションテープ使用)
今回は掛け具となる角材を2つ使った「2つ掛け」の飾り方を紹介します。
ステップ1:掛け具となる「角材の大きさ」を決める
ステップ2:作品を「飾る高さ」を決める
ステップ3:角材と両面テープを取りつける「高さ」を測る
ステップ4:角材と両面テープを取りつける「横幅」を測る
ステップ5:掛け具となる角材を両面テープで取り付ける
ステップ6:安定感を加える一工夫「クッションテープ」の取り付け
各工程を、写真付きの実例で解説していきます。
今回飾る作品は岡田佑里奈さんの作品です。

2024、岡田佑里奈、パネル, アクリル絵具, 写真、350 × 270 × 40mm
ステップ1:掛け具となる「角材の大きさ」を決める
掛け具に使用する角材の大きさは
「(作品の木枠奥行きと同程度の厚み)×(両面テープのコマンドタブと同程度の幅・長さ)」
となるものを用意します。
- 作品の木枠奥行きと同程度の厚み
作品の木枠と角材の幅が近いほど、作品を安定して支えやすくなります。
なるべく同じ厚みの角材を選びましょう。 - 両面テープ(コマンドタブ)と同程度の幅・長さ
壁と接する角材の幅と長さは、両面テープのコマンドタブ接着面「1.9 × 7.5 cm」と同程度だと、本来の耐荷重量を発揮できます。
幅は角材が2cm程度であれば両面テープ1枚、4cm程度であれば2枚貼ると良いです。
長さは7.5cmに合わせ、角材を切って調整できます。
実際の作業例

作品の木枠奥行きは「3.5cm」だったので、厚み3.5cmとなる角材を探します。
ネット注文ができる角材を調べると「厚み3.5 × 幅3.5 × 長さ40cm」の寸法が一番近い形でした。
長さはのこぎりで「7.5cm」に切り、幅は角材そのままの「3.5cm」で両面テープのコマンドタブ2枚を貼るイメージで進めます。
次に、掛け具に使用する角材の数は作品の「重さ」と「横幅」を考慮して決めます。
- 作品の重さが1kg〜2kg/作品の横幅が15cm以上 → 角材2つ用意の「2つ掛け」
- 作品の重さが1kg未満/作品の横幅が7.5〜15cm程度 → 角材1つ用意の「1つ掛け」
正確な角材の取り付けによる作業面の大変さに抵抗がなければ、バランスがよく揺れにも耐えやすい「2つ掛け」がおすすめです。
また、作品の重さは掛け具となる角材の重さを考慮して、2kgピッタリにならない程度で考えましょう。
ここまで確認できたら、必要な角材の用意を進めます。
実際の作業例

作品の重さは「約800g」、横幅は「22.5cm」でした。
角材ひとつの長さは7.5cm、ふたつで15cmなので、2つ掛けできる幅は確保できます。
なので、地震などの揺れで作品が動きやすいため、角材は2つ用意の「2つ掛け」で進めていきます。
以上から、必要な角材の大きさは「3.5 × 3.5 × 15cm以上」と分かったので、ウォールナット角材(3.5 × 3.5 × 40cm)を用意しました。
角材が届いたら、必要な長さを測り、のこぎりで切っていきます。
実際の作業例
ウォールナット角材(3.5 × 3.5 × 40cm)の両端を掛け具として使用します。
両端それぞれに長さ7.5cmとなる場所にマッキーなどで目印をつけ、のこぎりで切っていきます。

切る際は屋外の安全な場所で、角材を押さえる手に軍手をはめて、怪我に気をつけて作業します。
切り始めは優しく刃を当て切り込みを入れ、のこぎりを引く時に少しずつ力を加えていくと切りやすいです。

長さ7.5cmに切れたら、両面テープのコマンドタブを2枚貼ります。
タブ部分は作品の内側を向くように取り付けます。
テープ部分が少しはみ出ましたが、そのままで使っていきます。

ステップ2:作品を「飾る高さ」を決める
作品を飾る高さは「作品のモチーフと目線が合う場所」がおすすめ。
普段からふとした時に目に入る位置にある方が、より日常的にアートを楽しみやすくなります。
抽象画など主なモチーフがない場合は、作品の中心と目線が合う高さに調整しましょう。
壁にマスキングテープや付箋を貼って、いろんな場所に立って作品が見やすいかをシミュレーションすると分かりやすいです。
実際の作業例
今回飾る場所は、デスクの目の前にある壁です。

デスクの椅子に座った時に「作品の花のモチーフと目線が合う高さ」に調整します。
床からの目線の高さは「118cm」でした。

ステップ3:角材と両面テープを取りつける「高さ」を測る
掛け具となる角材を取り付ける高さは、
作品のモチーフと目線が合う高さに「作品のモチーフから掛け具を掛ける木枠までの高さ」
を足すと分かります。
作品のモチーフから掛け具を掛ける木枠までの高さは、
「(作品のモチーフから上部までの長さ)ー(作品上部の木枠の幅)」
で求められます。
その高さを、ステップ1で決めた目線の高さに足して、角材を取り付ける高さを決めます。
作品の長さを測る時はコットン手袋などを使い、作品が汚れないように作業しましょう。
実際の作業例
(作品のモチーフから上部までの長さ)11cm ー (作品上部の木枠の幅)2.3cm
= 8.7cm
この高さをステップ1で決めた目線の高さ118cmに足すと「126.7cm」となります。

「126.7cm」の位置に、角材の上部がくるように設置します。
ステップ4:角材と両面テープを取りつける「横幅」を測る
2つ掛けの場合は、作品の木枠の両端に掛け具となる角材が収まるようにします。
手順は以下の通り。
- 作品を配置したい位置の左右の端にマスキングテープで目印をつけ、掛け具を取り付ける横幅を決めます。
- 作品を飾る壁全体の横幅を測ります。
- 壁に貼ったマスキングテープの目印を参考に、「壁の左端から作品左端までの長さ」と「作品右端から壁の右端までの長さ」を求めます。
※マスキングテープの目印とは別に作品の横幅も測っておき、壁全体の横幅と「壁の左端から作品左端までの長さ・作品の横幅・作品右端から壁の右端までの長さ」の合計が等しいかを確認しておくと、より正確に取り付けができます。 - 左右それぞれの「壁の端から作品の端までの長さ」に対して、「作品の木枠幅+0.3cm程度の余白」を足した位置が、掛け具となる角材を配置する場所になります。
実際の作業例
今回は壁の中心に作品が配置されるようにしていきます。

作品を飾る壁全体の横幅は「49cm」
その中心に作品がくるようにするため、作品の横幅「27cm」を差し引いて2で割った値が「壁の左端から作品左端までの長さ」と「作品右端から壁の右端までの長さ」になります。
((壁全体の横幅)49cm ー (作品の横幅)27cm)÷ 2
=(壁の左/右端から作品左/右端までの長さ)11cm
この値に、作品の左右それぞれの木枠の幅2.3cmに余白の0.3cmを足した値が、掛け具となる角材を配置する場所になります。
(壁の左/右端から作品左/右端までの長さ)11cm +(作品の木枠幅)2.3cm+(余白)0.3cm
=(掛け具となる角材を配置する横幅)13.6cm
「13.6cm」の位置に、角材の左/右部がくるように設置します。
ステップ5:掛け具となる角材を両面テープで取り付ける
2つ掛けをする場合、左右両方の掛け具を同じ高さにする必要があります。
- ステップ2で求めた「角材と両面テープを取りつける高さ」
- ステップ3で求めた「角材と両面テープを取りつける横幅」
の位置にマスキングテープや付箋などで目印をつけ、水平器で並行かどうかと、高さにズレがないかを調整します。
ここで高さにズレがあると、作品の重さをうまく分散できなくなるので注意しましょう。
取り付ける位置が決まったら、両面テープのコマンドタブの赤字のはくり紙の面を角材に、黒字のはくり紙の面を壁に貼り付けます。
貼り付け後、約30秒間強く押し付けて、両面テープの接着を馴染ませます。
実際の作業例
- ステップ2で求めた「角材と両面テープを取りつける高さ」は126.7cm
- ステップ3で求めた「角材と両面テープを取りつける横幅」は左右共に13.6cm
なので、その位置に付箋を貼り、シルバコンパス(水平器の代わり)で水平を確認しながら、メジャーで高さと横の位置を調整していきます。
位置が定まったら、角材を両面テープのコマンドタブで壁に貼り付け、約30秒間押し付けます。
貼り付け後、余った角材とシルバーコンパスで水平と高さを確認します。

ステップ6:安定感を加える一工夫「クッションテープ」の取り付け
ステップ5までで、角材を使った壁掛けは9割完成です。
そこに安定感を加える一工夫として、作品の木枠下を押さえる「クッションテープ」を壁に貼り付けます。
貼り付ける位置は作品の中心あたりの1箇所。
高さは
「(床から壁掛けした作品下部までの長さ)+(作品の木枠下部の幅)ー(クッションテープ押さえ用の幅)0.1cm程度」
で求めます。
木枠よりも0.1cmはみ出して貼ることで、クッションテープが作品を優しく押さえる役割を果たし、作品の固定に役立ちます。
実際の作業例
(床から壁掛けした作品下部までの長さ)94cm +(作品の木枠下部の幅)2.3cm ー (押さえ用の幅)0.1cm
=96.2cm
床からの高さ「96.2cm」、作品の中央あたりに付箋でマーキングし、クッションテープを貼ります。
もし作品がうまく押さえこめない場合は、貼る位置を微調整します。

うまく貼り付けられると、作品がクッションテープで押さえつけられるような形になり、安定感が増します。

完成
角材と両面テープのコマンドフック、クッションテープを使って、木製パネルの作品を傷つけずに飾れました!

まとめ
今回は木製パネルの作品を壁掛けする方法を紹介しました。
木製パネルの作品は、壁に立てかけて飾ってばかりいましたが、「どうにか作品に掛け具を取り付けずに壁掛けしたい!」と思い、検証を重ねた末に辿り着いた方法です。
同じ悩みを抱えている方、ぜひお試しください。
P.S.
後日、この掛け方は「ドッコ式吊り」に近いことを知りました。
ドッコ式は上部を斜めにカットした木材をビスで壁に打ち込み、額の裏面木枠に引掛ける方式。壁に穴を開ける点で今回紹介した方法とは微妙に異なりますが、用語を知るのも大事です。
- 今回紹介した道具
- 参考文献