【用語解説】アートオークションとは(アート鑑賞の観点で楽しむ方法4選もご紹介)
今回はアート鑑賞の観点で見たアートオークションの楽しみ方をご紹介します。
この記事を読むとこんなことが分かります。
- アートオークションとは何かが分かる
- 落札価格の示す意味について分かる
- オークションに参加しなくてもオークションを楽しむ方法4つを知れる
アート作品はギャラリーやアートフェアで購入するのが基本ですが、アートオークションのことも知ると、新たな観点でアートをより深く楽しむことができます。
ギャラリー鑑賞とはまた違う、アートオークションの魅力に触れるきっかけになれば嬉しいです。
アートオークションとは?
アートオークションとは、一度コレクターの手に渡った作品が競売によって再び販売されることをいいます。出品された作品を競り合い、より高額で入札した人が作品を落札できます。
「欲しい人が2人以上いればどこまでも価格が上がる」といわれるように、市場原理に基づくダイナミックな価格変動が起きるのが特徴です。
落札結果は公開されているためニュースの話題となること多く、そういった情報をみて「アート=高価」というイメージがついているような印象もあります。
オークションはセカンダリーマーケットに分類される
アートには大きく分けて、プライマリーとセカンダリーというふたつのマーケットがあり、アートオークションは「セカンダリーマーケット」に分類されます。
アートオークションの流れ
アートオークション開催までの流れを大きくわけると5つに分類できます。
- 出品作品の募集
- 作品の査定、コンディションチェック
- カタログ作成、送付
- 下見会の開催(※開催しないこともある)
- オークション本番
オンラインのみの開催だったり、作品数が少ない場合などによって多少の違いはあるものの、おおよそこの流れでオークションは開催されています。
アートオークションの落札結果が示す意味
オークションに出品される作品には「予想落札額(エスティメート)」という価格表示がされますが、それを超える価格で落札される場合もあります。この落札結果にはどんな意味があるのでしょうか。
作品の信用性を構築する「価値のバロメーター」
オークションは「資金のある限りだれでも参加可能」であり、「落札結果が公表されている」ことから、公共性と公開性が担保されています。そのため、オークションの落札結果は作品の価値を示す重要な「価値のバロメーター」になるといわれています。
例えば、2018年のサザビーズ(世界最古の国際オークションハウス)での落札直後にシュレッダー付きのフレームによって切り刻まれ⼤きな話題を呼んだ、バンクシーさんの絵画作品《Love is in the bin(愛はごみ箱の中に)》です。
作品は2018年のサザビーズで、104万2000ポンド(約1億5800万円)で落札されました。
その後、2021年にふたたびサザビーズで競売にかけられた同作の落札価格は、1858万ポンド(約28億8000万円)を記録しました。
3年後には作品の価格が約18倍となり、バンクシーさん自身にとってのオークションレコードを更新する過去最高額となりました。
オークションを通して、アーティストと作品が今この時代にどう評価されているのかを数値的に知ることができます。
オークションとプライマリーマーケットの関係
オークションが作品の信用性を築く場としたら、プライマリーマーケットは作家の信用性を積み上げていく場であり、お互いが補完関係にあります。
オークションの落札結果が「価値のバロメーター」となる一方で、その時々の気まぐれさや予測不可能な側面も持ち合わせています。この価格変動から作家を保護するためにも、ギャラリーやアートフェアでは作家の評判や展覧会歴、作品のサイズや素材といった、さまざまな要素を加味した「本来の価格」を設定しています。
また、人気作家はオークションで高値となりやすいことから、作品を安く仕入れオークションなどで高く売るアービトラージ(鞘取り)目的で作品を売買しようとする人もいます。投機目的の売買は作家や作品の信頼を損なう可能性があり、作家やギャラリーも望んでいません。
オークションの落札結果だけでなく、ギャラリーでの価格、そして作家とその作品のことを時間をかけて知り、総合的に判断することが大切です。
アートオークションを鑑賞の観点で楽しむ方法4選
オークションなんて別世界のできごとだから、私には関係ないなぁ
という方でも、アートオークションだからこそできる楽しみ方があります。
今回は国内の代表的なオークションハウスであるSBIアートオークションを例に、アートオークションの鑑賞という観点で楽しむ方法を4つご紹介します。
1. カタログ:多彩な作品集として楽しむ
1つ目が、オークション前に発送される「カタログ」を作品集として楽しむというものです。
全ページフルカラーで構成されたカタログは非常にクオリティが高く、まるで展覧会で販売されているカタログのようです。ジャンルを超えた作品が多数集まっているため、アートフェアのように新しい作品を知るきっかけにもなります。
これほどのクオリティのカタログにも関わらず、申し込みをすれば誰でも無料で貰うことができることは意外と知られていません。事前に申し込みをしておけば、オークション前に郵送で届けてくれます。(セールのおよそ二週間前に発送されます)
オンラインでも作品は見れますが、出品数が数百を超えることがほとんどなので、それをスクロースして見るのが面倒な人にとっては、ページを自由にめくれるカタログの方が見やすいでしょう。
「こんな作家もいるんだ!」という発見があったら、その作家を取り扱っているギャラリーに足を運んでみたら、アート鑑賞の幅も広げられるかもしれません。
2. 下見会:ジャンルを超えた多彩な作品を無料で鑑賞できる
2つ目が、オークション前に開催される「下見会」で作品を無料で鑑賞するという楽しみ方です。
カタログだけでは味わいきれない、作品の大きさであったり迫力を体感できる場となっています。ギャラリーや展覧会とは違い、壁一面に作品が展示された玉石混交の展覧会となっているのが特徴です。
ジャンルを超えた作品が多数集まり、しかもそれを無料で鑑賞できるのはカタログ同様に意外と知られていません。
- オークション参加者のみしか行けないんじゃないの?
- なんだか入りにくそう
というイメージもあると思いますが、行ってみると簡単な受付だけで入場ができ、会場には学生から大人まで老若男女問わず作品鑑賞を楽しんでいるような空間になっています。
会場は代官山の「ヒルサイドフォーラム」という場所で、ガラス張りの窓越しに作品が見えるようになっているため、「何かの展覧会かな?」と思って訪れる人も多いんだとか。
なお、平日の2日間と会期が短いケースが多いので、参加するときには事前の日程確認を忘れずにいきましょう。
3. YouTubeオンライン視聴:オークション当日の臨場感を味わう
3つ目が、当日のオークションの模様を「YouTubeオンライン視聴」で楽しむというものです。
「オークションには参加しないけれど、雰囲気だけでも知りたい!」という人にはYouTubeのライブストリーミング視聴がおすすめです。動画のアーカイブは残らないので当日ライブ配信を視聴するのが基本となります。
4. オークション会場:ショー、エンターテイメントとしての側面も味わう
4つ目がオークション当時に「オークション会場」現地でライブ感を味わうという方法です。
海外からの書面や電話、オンライン、そして会場からの入札の声が活発に飛び交う会場はちょっとしたショー、エンターテイメントとしての側面もあります。
オークショニア(司会進行の役割を担う人)と会場の参加者が共同作業をするような雰囲気でオークションを作り上げているような、ある種の一体感を得ることができます。
会場は下見会と同じ場所で開催されますが、セール当日の会場への入場は事前予約制となっています。基本は入札希望者が優先されるので、見物のみだと会場に入れない可能性もありますが、ガラス窓越しにであれば見学もできます。
臨場感も味わいたい!という方はこちらもおすすめです。
まとめ:アートオークションならではの楽しみを満喫しよう!
初心者からでも十分に楽しめるアートオークションについてご紹介しました。
オークションに参加しようとしたらハードルが高いですが、作品を観るだけでもウェルカムであることは、意外と知られていないのではないでしょうか。「コレクターが大切にしてきた多様な作品を観れる展覧会」と捉えてみると、気軽に足を運びやすくなると思います。
ギャラリーやアートフェアとはまた違った楽しみ方ができるアートオークションにもぜひ触れてみてはいかがでしょうか。
SBIアートオークション情報
場所 | ヒルサイドフォーラム 東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟1F |
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公式サイト | https://www.sbiartauction.co.jp/ |
YouTube | https://www.youtube.com/channel/UC32a7MUOI-xI1DY-CghG-KA |
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