解説

【用語解説】アートオークションとは|初心者も無料で楽しめる方法4選も紹介

こんにちは!よしてる(@uzuraism_)です。

今回はアートオークションの楽しみ方についてまとめてみました。

この記事を読むとこんなことが分かります。

・アートオークションとは何かが分かる
・落札価格の示す意味について分かる
・オークションに参加しなくてもオークションを楽しむ方法4つを知れる

アート作品はギャラリーやアートフェアで購入するのが基本ですが、アートオークションのことも知ると、新たな観点でアートをより深く楽しむことができます。

ギャラリー鑑賞とはまた違う、アートオークションの魅力に触れるきっかけになれば嬉しいです。

アートオークションとは

《第47回SBIアートオークション風景》

アートオークションとは、一度コレクターの手に渡った作品が競売によって再び販売されることをいいます。

出品された作品を競り合い、より高額で入札した人が作品を落札できます。

「欲しい人が2人以上いればどこまでも価格が上がる」といわれるように、市場原理に基づくダイナミックな価格変動が起きるのが特徴です。

落札結果は公開されているためニュースの話題となること多く、そういった情報をみて「アート=高価」というイメージがついているような印象もあります。

オークションはセカンダリーマーケットに分類される

アートには大きく分けて、プライマリーとセカンダリーというふたつのマーケットがあり、アートオークションは「セカンダリーマーケット」に分類されます

プライマリーマーケット
作家が制作した作品の展示に作家自身が関わり、販売する場所のこと。作家や作品、ギャラリーの特徴、評判、プライマリーマーケット全体の参照値といった要素を加味した「本来の価格」で設定されます。ギャラリーやアートフェアからの作品購入はこちらにあたります。

セカンダリーマーケット
コレクターの手に渡った作品が、二次流通して販売される場所のこと。作品の価値のバロメーターとなる一方で、作品の需要によって価格が大きく変動する気まぐれさも持ち合わせています。オークションからの作品購入はこちらにあたります。

アートオークションの流れ

アートオークション開催までの流れを大きくわけると5つに分類できます。

1.出品作品の募集
2.作品の査定、コンディションチェック
3.カタログ作成、送付
4.下見会の開催
5.オークション本番

オンラインのみの開催だったり、作品数が少ない場合などによって多少の違いはあるものの、おおよそこの流れでオークションは開催されています。

アートオークションの落札結果が示す意味

オークションに出品される作品には「予想落札額(エスティメート)」という価格表示がされますが、それを超える価格で落札される場合もあります。

この落札結果にはどんな意味があるのでしょうか。

作品の信用性を構築する「価値のバロメーター」

オークションは「資金のある限りだれでも参加可能」であり、「落札結果が公表されている」ことから、公共性と公開性が担保されています

そのため、オークションの落札結果は作品の価値を示す重要な「価値のバロメーター」になるといわれています。

例えば、2018年のサザビーズ(世界最古の国際オークションハウス)での落札直後にシュレッダー付きのフレームによって切り刻まれ⼤きな話題を呼んだ、バンクシーの絵画作品《Love is in the bin(愛はごみ箱の中に)》です。

《Love is in the bin》、Banksy、2018
出典:サザビーズのウェブサイトより引用

作品は2018年のサザビーズで、104万2000ポンド(約1億5800万円)で落札されました。
その後、2021年にふたたびサザビーズで競売にかけられた同作の落札価格は、1858万ポンド(約28億8000万円)を記録しました。

3年後には作品の価格が約18倍となり、バンクシー自身にとってのオークションレコードを更新する過去最高額となりました。

オークションを通して、アーティストと作品が今この時代にどう評価されているのかを数値的に知ることができます

こぼれ話:なぜ落札直後に作品を細断したの?
作品を細断した理由は、「ストリートアートは売り物ではない」と主張したかったからといわれています。NYタイムズ誌に、「ストリートアートは創造された場所にあるべきだ。そもそも売るために描かれた絵ではない物を、オークションで買わないようにしてほしい」と語ったところからも、その真意が伺えます。

オークションとプライマリーマーケットの関係

オークションが作品の信用性を築く場としたら、プライマリーマーケットは作家の信用性を積み上げていく場であり、お互いが補完関係にあります

オークションの落札結果が「価値のバロメーター」となる一方で、その時々の気まぐれさや予測不可能な側面も持ち合わせています。

この価格変動から作家を保護するためにも、ギャラリーやアートフェアでは作家の評判や展覧会歴、作品のサイズや素材といった、さまざまな要素を加味した「本来の価格」を設定しています。

また、人気作家はオークションで高値となりやすいことから、作品を安く仕入れオークションなどで高く売るアービトラージ(鞘取り)目的で作品を売買しようとする人もいます。

投機目的の売買は作家や作品の信頼を損なう可能性があり、作家やギャラリーも望んでいません。

オークションの落札結果だけでなく、ギャラリーでの価格、そして作家とその作品のことを時間をかけて知り、総合的に判断することが大切です。

アービトラージ(鞘取り商法)とは?
ここでは投機目的でアートを安く買って高く売ること。作品の需要が過多になった際に、ギャラリストは購入希望者を事前に調べたり、待機リストを作ったり、期間を決めて転売を禁止したりしています。
(一般的には金融業界で用いられる言葉で、金利差や価格差に注目して、両者のサヤを抜き利益を得ようとする手法のことです。)

アートオークションを展覧会のようにも楽しむ方法4選

「オークションなんて別世界のできごとだから、私には関係ないなぁ」

という方でも、アートオークションだからこそできる楽しみ方があります。

今回は国内の代表的なオークションハウス「SBIアートオークション」を例に、アートオークションの楽しみ方を4つご紹介します。

1. カタログ|多彩な作品図録として楽しめる

1つ目が「カタログ」です。

全ページフルカラーで構成されたカタログは非常にクオリティが高く、まるで展覧会で販売されているカタログのようです。

ジャンルを超えた作品が多数集まっているため、アートフェアのように新しい作品を知るきっかけにもなります。

このカタログ、実は無料で貰うことができるのも嬉しいポイントで、事前に申し込みをしておけば、オークション前に郵送で届けてくれます。(セールのおよそ二週間前に発送されます)

オンラインでも作品は見れますが、出品数が数百を超えることがほとんどなので、それをスクロースして見るのが面倒な人にとっては、ページを自由にめくれるカタログの方が見やすいでしょう。

「こんな作家いるんだ!」という発見があったら、その作家を取り扱っているギャラリーに足を運んでみたら、アートの世界も広げられるかもしれません。

2. 下見会|ジャンルを超えた多彩な作品を無料で鑑賞できる

2つ目が「下見会」です。

カタログだけでは味わいきれない、作品の大きさであったり迫力を体感できる場です。

ギャラリーや展覧会とは違い、壁一面に作品が展示された玉石混交の展覧会となっているのが特徴です。

《第47回SBIアートオークション下見会風景》

ジャンルを超えた作品が多数集まり、しかもそれを無料で鑑賞できるのは意外と知られていません。

「オークション参加者のみしか行けないんじゃないの?」
「なんだか入りにくそう」

というイメージもあると思いますが、行ってみると簡単な受付だけで入場ができ、会場には学生から大人まで老若男女問わず作品鑑賞を楽しんでいるような空間になっています。

会場は代官山の「ヒルサイドフォーラム」という場所で、ガラス張りの窓越しに作品が見えるようになっているため、「何かの展覧会かな?」と思って訪れる人も多いんだとか。

また、作品には予想落札額(エスティメート)も表示されているので、初めて行くと「この作品こんな値段するんだ!」と驚くことも多く、普段ギャラリーに足を運ぶ人にとっても新鮮な空間ではないかなと思います。

なお、平日の2日間と会期が短いケースが多いので、参加するときには事前の日程確認を忘れずに。

3. YouTubeオンライン視聴|オークション当日の臨場感を味わう

3つ目が「YouTubeオンライン視聴」です。

「オークションには参加しないけれど、雰囲気だけでも知りたい!」

そんな人にはYouTubeのライブストリーミング視聴がおすすめです。

動画のアーカイブは残らないので当日ライブ配信を視聴するのが基本となりますが、

「ライブ配信観れないけど、後で観たい!」

という人はYouTubeライブ配信画面の「高評価ボタン」を押しておくと、メニューバーの「高く評価した動画」からいつでも視聴することができるようになります


《動画の高評価ボタンを押すと、見逃しても後で観れるように》

4. オークション会場|ショー、エンターテイメントとしての側面も味わう

4つ目が「オークション会場」です。

海外からの書面や電話、オンライン、そして会場からの入札の声が活発に飛び交う会場はちょっとしたショー、エンターテイメントとしての側面もあります

オークショニア(司会進行の役割を担う人)と会場の参加者が共同作業をするような雰囲気でオークションを作り上げているような、ある種の一体感を得ることができます。

会場は下見会と同じ場所で開催されますが、セール当日の会場への入場は事前予約制となっています。

基本は入札希望者が優先されるので、見物のみだと会場に入れない可能性もありますが、ガラス窓越しにであれば見れたりもします。

臨場感も味わいたい!という方はこちらもおすすめです。

まとめ|アートオークションならではの楽しみを満喫しよう!

初心者からでも十分に楽しめるアートオークションについてご紹介しました。

オークションに参加しようとしたらハードルが高いですが、作品を観るだけでもウェルカムであることは、意外と知られていないのではないでしょうか

「コレクターが大切にしてきた多様な作品を観れる展覧会」と捉えてみると、気軽に足を運びやすくなると思います。

ギャラリーやアートフェアとはまた違った楽しみ方ができるアートオークションにもぜひ触れてみてはいかがでしょうか。

SBIアートオークション情報

場所ヒルサイドフォーラム
東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟1F
公式サイトhttps://www.sbiartauction.co.jp/
YouTubehttps://www.youtube.com/channel/UC32a7MUOI-xI1DY-CghG-KA
Instagramhttps://www.instagram.com/sbiartauction/

参考書籍

  • 美術手帖 2021年 10月号「アートの価値の解剖学」

こちらは雑誌のオンライン書店Fujisan.co.jpにてデジタル版サンプルを全ページ見ることができます。今回の記事で少しでもアートって面白そう!と思った方はぜひご覧ください!


2021年10月号「アートの価値の解剖学」デジタル版をみる

参考リンク

ABOUT ME
よしてる
東京でアート巡りををしながら「アートの割り切れない楽しさ」を探究している理系男子です。会社員をしながら、週末アートウォッチをしています。 2021年から無理のない範囲でアート作品の購入も始めました。 好きな動物はうずら。

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