【作品コレクション物語】松枝悠希編(時間の経過を楽しむアート)
今回はアートコレクション物語の第二弾です。松枝悠希さんのアート作品のコレクションに至るまでのストーリーをご紹介します。第一弾はこちらご覧ください。
この記事を読むとこんなことが分かります。
- 立体作品のコレクションに至る過程の一例が分かる。
- 松枝悠希さんの作品について知れる。
- 鑑賞だけでなく、時間の経過を楽しむコレクションについて知れる。
では、観ていきましょう!
コレクションした作品
今回紹介する物語は、こちらの作品をコレクションしたときのものです。
松枝悠希《「This is EXIT square 300」green》
コレクションまでに至る物語
松枝悠希さんの作品コレクションに至るまでの物語を、松枝悠希さんを知ったところから振り返ってみていきます。
1.作品を知ったきっかけはアートフェア東京2016
松枝悠希さんの作品を初めて観たのは、アートフェア東京2016です。
アートフェア東京には2013年から参加していますが、アートフェア東京2016へは「チケットを貰ったから行く」程度で、まだアート鑑賞に積極的ではない時期でした。
2.非常口のピクトグラムが飛び出した作品
作品の購入は全く考えずに歩いていると、標識のマークが飛び出している作品を見つけました。
日常でみているものがアートになっていることが衝撃的で、一瞬で「面白い!」と思いました。さまざまな標識の作品が並ぶ中でも、一番印象的だった作品が《「This is EXIT square 300」 white》でした。
ピクトグラムが意志を持って飛び出しているようで、意志があるならやってみたらなんとかなるというメッセージをきけた感覚になり、自分の中にあった固定概念がひとつ取り払われたような出会いでした。
その他にもたくさんのアート作品を会場で鑑賞していきましたが、アートフェア東京2016の中では、松枝悠希さんの作品との出会いが一番の衝撃で、印象に残りました。
3.アート鑑賞した後の生活の変化から、作品の魅力に惹かれていく
アートフェア東京2016以降しばらくは、松枝悠希さんの作品を鑑賞する機会はなかったですが、私自身の生活に変化が生まれていきました。
好きなものでも、苦手なものでも、やってみたらなんとかなると思いチャレンジするようになり、その一例としてパルクールに挑戦していました。社会人になって何か運動しようと思ったときに、「せっかくなら何か新しいことにチャレンジしてみよう!」と思っての行動でした。
パルクールは1年ほど続けて、鉄パイプの上を歩けるようになったり、ある程度の壁なら登れるようになったりと、ちょっとした技を習得することができました。
一番苦手意識のあった業種の仕事への転職も、アートから影響を受けたと思います。
以前は「好きな業種に行く!」という考え方でしたが、アート鑑賞を通して枠を超えてやってみるという選択肢も考えられるようになり、自分が一番苦手な業種に入って、そこで成果を出せたら、今よりもちょっといい未来になるのではないかと思い行動していました。
こんな形で、個人的な生活の変化を数年を通して感じていきました。自分の変化の要因を考えてみるとさまざまな要因が思い浮かびますが、振り返ると松枝悠希さんの作品との出会いに影響を受けていたように思います。
アートフェア東京2016では一時の衝撃を受け、その後、長い時間をかけて自分にとって良い行動の変化を感じていく体験をしました。
4.2021年に初めて松枝悠希さんの展覧会へ
時間が経過し、2021年3月にtwitterで展覧会「松枝悠希 展 Escape.」があることを知りました。しかも、知ったその日にアーティスト本人が在廊されるとのことで、気づくと当日すぐに会場へ向かっていました。
会場に到着すると、入口にはアートフェア東京2016のときに観たものをはじめ、新作も多く展示されていました。
自分が衝撃を受けた作品が、本格的にコレクションを始めようと思った2021年に購入できるチャンスがやってくる。タイミングも相まって運命を感じ、初コレクションは松枝悠希さんの作品にしたいと思いました。
展示会場をゆっくりと鑑賞し、いくつか作品がある中でも2つの作品まで絞って、どちらを購入するかを考えていきました。
5.非常口かうずらの作品どちらかで迷う
展覧会で作品を鑑賞して、購入のために大きく迷ったのはこちらの作品です。
《「This is EXIT square 300」green》はアートフェア東京2016の衝撃もあり、何事も無ければ好みの緑バージョンにしようと思っていました。
《UZURA FORCE 121》は展覧会の中で気に入った作品です。個人的に写真集を作りたいと思うほどうずらという鳥が好きなこともあり、自分にとっての好きがダブルパンチでハマり、こちらも素敵な作品でした。
可能であれば2つとも購入したかったですが、あらかじめ予算は決めていたので1つしか購入できません。
非常に悩み、松枝悠希さんやギャラリーの方と相談をしながら考え抜きましたが、展覧会に行った日には決めきれず、「作品は数日であれば検討中とのことで確保しておくので、時間を掛けて考えてみてください」という優しい言葉に甘えて、1日寝かして考えることにしました。
6.非常口の作品《「This is EXIT square 300」green》を選んだ理由
帰り道から寝る前まで、どちらの作品を購入するかずっと考えるほど、どちらを購入しても悔いは残らない素敵な作品でした。それでも予算の都合上1つに決めなければ行けないので、3つのポイントで検討しました。
非常口の作品 《「This is EXIT square 300」green》 | うずらの作品 《UZURA FORCE 121》 | |
作品を家に飾った時にどう感じるか | 意志があるならやってみたらなんとかなる、固定概念を取り払い行動するエネルギーを貰える | 好きな動物のうずらの殻(本物)が使われていてかわいい |
作品の大きさ | 中 | 大 |
作品の重さ | 小 | 中 |
コレクションをする際には人によってさまざまな基準があると思いますが、今回私のコレクションの基準は「長く所有し、飾りやすいこと」をメインに検討しました。
アート作品は保存状態を維持しつつ、見える場所に置いて鑑賞することも大事だと思います。
住環境によって、作品の大きさ、重さが原因で飾れない場合もあるため、今の自分の状態も鑑みて、今回は飾りやすい非常口の作品《This is EXIT square 300 green》の購入を決めました。
アートコレクションをして感じたこと
作品の購入から受け取るまでの間にコロナ禍による緊急事態宣言が発令されたりと、受け取り時期が延長になりつつも、3ヵ月後に無事に作品を受け取ることができました。
以上が松枝悠希さんの作品をコレクションするまでの物語でした。このような過程でアート作品をコレクションして感じたことをまとめてみます。
アート作品のコレクションはロマンがある
作品の購入をした日にも松枝悠希さんとお話させていただき、アートの飾り方や作品への想いについてお聞きでき、今回購入できて本当に良かったと思いました。
アーティストの想いのこもった作品のコレクションを通して、視野を広げた考え方やものごとを受け入れる器を広げることにつながったと感じました。
そして、時間経過とともに体感したことの要因が作品鑑賞にあったように、作品も時間経過とともに、美術史の文脈や文化に紐づけて新たな価値が生まれたり、時代を反映した作品になっていくかもしれません。
どうなるかは分かりませんが、時間をかけて楽しめるところにもロマンがあると思います。
だからこそ、個人的なコレクションにとどまらない可能性もあるため、作品は大切に扱っていきたいです。
まとめ:時間の経過を楽しむコレクション
前回の高松和樹さんの作品とはまた違った、松枝悠希さん作品コレクションの過程をまとめていきました。
アートを鑑賞した当日は変わらないかもしれませんが、1年後、3年後、10年後には自分の中で化学反応が起きるかもしれません。また、過去の歴史や文化と結びつき、いずれ美術館に所蔵される作品になるかもしれません。
自分にとっても、作品にとってもロマンのある過程を、時間をかけて楽しんでいけるのも、アートコレクションの醍醐味ではないかと思います。この経験が、あなたにとってのアートに触れるきっかけになったら嬉しいです。