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松枝悠希「Escape.」|頑張ってる時ほど逃げ道の大切さを教えてくれるアート

よしてる

逃げ出したいくらいの出来事が多いとき、いまいち一歩踏み切れないとき、枠を飛び出す勇気がほしいとき、そんなときに特に観てほしい作品をご紹介します。今回は新宿にある「伊勢丹新宿 アートギャラリー」にて開催した松枝悠希さんの個展「Escape.」の模様をご紹介します。

松枝悠希さんについて

《Super egg》
松枝悠希

松枝悠希(まつえだ ゆうき)さんは茨城県生まれのアーティストです。

PET素材を駆使し、“日常のなかでよく目にするモノに命を吹き込んだらどんな動きをするか”をコンセプトに作品を制作しています。

その背景には、大学時代に「平面の良さと立体の面白さが混ざったものができないか」と、模索していた時期があったようです。

そんな時に透明なカップを作る素材や製造工程で、たまたまロケットの先端のようなカタチのパーツを作ったときに、プラスチックを押し当てていた型がくっついてきて、型が本来ある場所から逃げ出しているように見えたところから、現在の表現方法につながっていきます。

知ったきっかけはアートフェア東京2016

僕が松枝悠希さんを知ったきっかけは、アートフェア東京2016へ参加したときに遡ります。

アートフェア東京2016風景

当時アーフェア東京には2回目の参加で、今ほどアートに対して積極的ではなかった頃に松枝悠希さんの作品を発見。当初思っていた「アートは堅苦しくてわかりにくい」イメージをぶち破ってくれた記憶があります。「こんな発想自由でいいんだ」と思ってから、まずは分からなくても気軽に楽しんでみようと思い、次第にアートにハマるきっかけになりました。

展示作品を観る

今回は伊勢丹内にあるギャラリーでの展示です。2016年以来久しぶりに観た作品をいくつかご紹介していきます。

平面にいることが非常事態?飛び出すピクトグラム

This is EXIT square 300 green

《This is EXIT square 300 green》
松枝悠希、32 × 32 × 26 cm

彼のいるところに、ヒトあり。ヒトが集まる場所には必ずと言っていいほどある標識。火災・地震・事故、、非常事態が発生した場合に、迅速かつ安全に退避することを、身をもって誘導してくれています。

平面からリアルの世界に飛び出す、それは今いる枠からの脱却を表しているようにも見えます。

非常口という標識業界では人命を預かる彼ですら、枠から出ようとしているところに、むしろ今の枠に収まってていいのか?避難する勢いで見つめなおす大切さを教えてくれているようです。

ちなみに、非常口のピクトグラムは、デパート火災がきっかけで生まれたそうです。赤炎の中では緑が一番映える色であり、避難経路がひと目でわかるようになっているデザインのため、非常口はピクトグラムのお手本とまで言われているそうです。

本能的なエスケープ

UZURA FORCE 121

《UZURA FORCE 121》
松枝悠希

個人的に一番好きな鳥類、うずらを使った作品もありました。うずらの卵はすべて本物で、全部で121個も並んでいます。

その中の真ん中1つが勢いよく飛び出していて、小柄でも関係なく飛び出せる力強さを感じました。あるいは、自分だけは食べないでほしい、という本能的なエスケープなのかもしれません。

いろんなバリエーションの作品も

-Super YM Robot-anaglyph

《-Super YM Robot-anaglyph》
松枝悠希

これは、YM=作者自身のお名前?のロボットが描かれた作品。「ドンっ!」という手の部分のPET素材が破裂したように避けていて、躍動感のある作品です。

近くには3D眼鏡が置いてあって、立体作品をさらに立体的に観る、という不思議な体験ができました。ちなみに、作品の印刷は作者自らが刷っているとのこと。

Thorns Painting

《Thorns Painting》
松枝悠希

松枝悠希さんのペイント作品を、もしかしたら初めて観たかもしれないです。”Thorns=茨(いばら)”という意味で、その意味の通り鋭い突起が何本か飛び出しています。

Today’s happy Colors

《Today’s happy Colors》(一部)
松枝悠希

七色に染まるキャンバス。アート作品、特に絵画においてチューブは脇役であり、絵画が生まれるスタート地点でもあります。

そんなスタート地点のチューブにも注目した作品から、物事の捉え方を柔軟にする楽しさを感じながら鑑賞していました。

まとめ:頑張ってる時ほど逃げ道も大事

いろんな平面から飛び出してくる作品を観てきました。そこから

  • 今いる枠からの脱却
  • 本能的なエスケープ
  • 物事の捉え方の柔軟さ

というヒントを得ました。

今いる場所からちょっと背伸びをしてみて、見えてくる景色を変えてみるだけでもちょっといい未来がやってくるかもしれません。

そして、背伸びし続けることには負荷がかかり、その時期も大切だとは思いますが、頑張っている時ほど逃げ道も用意しておくと心の余裕ができていいのかなと思いました。脱却と逃げることの大事さ、その二面性のある作品達でした。

松枝悠希さんの他作品はこちら

展示会情報

展覧会名松枝悠希 展 Escape.
会場伊勢丹新宿 本館6階 アートギャラリー
会期2021年3月10日(水) ~ 2021年3月16日(火) 最終日6時終了
開廊時間午前10時~午後7時
サイトhttps://www.mistore.jp/store/shinjuku/shops/art/artgallery/shopnews_list/shopnews0178.html
観覧料無料
作家情報松枝悠希さん
HP:https://www.yuki-matsueda.com/
twitter:@matsueda_yuki
Instagram:@Yuki Matsueda

関連リンク

2022年の松枝悠希さん個展の模様はこちら。

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東京の展覧会をめぐりながら「アートの割り切れない楽しさ」をブログで探究してます。2021年から無理のない範囲でアート購入もスタートし、コレクション数は15点ほど(2022年11月時点)
好きな動物はうずら。
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