【用語解説】NFTアートとは(デジタルも唯一無二な価値を持つ)
ここ最近衝撃を受けたNFTとアートについてまとめました。デジタルアートが約75億円で落札される、そんなことが起こる世の中になったのかと思い、
そういえば、NFTってなに?
と思ったので調べてみました。この記事を読むことで、こんなことが分かります。
- NFTとは何かがざっくりと分かる
- NFTとアートの関係が分かる
- NFTによりデジタルアートが希少価値を持つようになることが分かる
NFTがアートにどんな影響をあたえているのか、みていきましょう!
NFTとは「唯一無二な価値を表現するもの」
NFTとは「Non-Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)」の略です。ブロックチェーン上で発行されるトークンで、個々のトークンが個別の価値を表現することができます。
…と、言われてもさっぱり分かりませんよね。もう少し意味を砕いてみましょう。
単語を分解してみると、
- ノンファンジブル=唯一無二、代替不可能
- トークン=証拠、記念品、代用貨幣、引換券、商品券
となります。
トークンは様々な意味を持っていて、定義があいまいなようですが、ものを買うときに使う通貨や電子マネー、図書カードなどのような、「あるものの価値を表現するもの」というふうに捉えられるかと思います。
まとめると、「NFT=唯一無二な価値を表現するもの」となります。
本当はブロックチェーンや仮想通貨とも絡んでくる用語ですが、今回はふんわりと意味をつかむ程度にして、アートとの関係に進もうと思います。
NFTによってデジタルアートの希少価値が担保される
NFTは「唯一無二な価値を表現するもの」ということで、こんなことが可能になっています。
これまではいくつでも、容易に複製できるものだったデータが、一つ一つ識別できるようになった=希少価値を担保できるようになったということになります。取引履歴がすべて記録されるという点も、偽造が非常に難しくなるということになります。こうして、NFTをデジタルアートに紐づけることで、所有者の権利の所在を明確化することが可能になりました。
アーティストにとっても、所有者にとっても、デジタル作品を唯一無二のアートとして持つことができるようになったという点で、注目が集まっています。
たとえば、GIF画像がデジタルアート作品に
NFTを基にしたデジタルアート作品はどんなものがあるのか、そのひとつがこちら。
《Nyan Cat(ニャン・キャット)[Original]》
Chris Torres
2011年4月にYouTubeにアップされた、体がアメリカのおやつ「PopTart」でできた猫「Nyan Cat」という作品です。
2021年にこの作品誕生10周年を記念して、作品のクリエイターであるChris Torresさんが、仮想通貨型アートオークションサイトFoundationに、10周年記念リマスター版GIF画像を出品しました。
この作品はなんと、約56万7360ドル(約6,000万円)で落札されました。「YouTubeで無料で見れるのに約6,000万円もするの?!」そう思った方は少なくないはず。
唯一無二となった瞬間に、だれでも無料で見れるものだとしても価値を生むものになる。
そんなところにまだ慣れない違和感を抱えつつも、新技術による新たな価値感が誕生している瞬間に立ち会っているような感覚をおぼえます。
ちなみに、オリジナル版はクリエイター本人が所有しているそうで、その理由は「唯一のものを持っているのがクールだから」とか。
約75億円で落札されたデジタルアート
そして、2021年3月11日にNFTとアートの注目度を象徴するような出来事が起きました。その注目された作品がこちらです。
3月11日の落札結果に、アート界で話題となったこちらの作品。何千日もの間に作成された5000枚の画像を並べて1枚の作品にしています。
デジタルアーティストBeeple(本名:マイク・ヴィンケルマン)による、NFTに基づいたデジタルアート作品《Everydays – The First 5000 Days》が、オンラインセールにて約6935万ドル(約75億円)で落札されました。
価格だけ見ても、「デジタルアートが希少価値もてるようになっただけでこんな値段になるの!?」と思いたくなる出来事でしたが、この作品が話題になっているのは、こんな理由からです。
- これまでのデジタルアート作品の最高額
- オンラインのみのオークションでの過去最高額
- 現存アーティストのオークションにおける過去最高額の第3位を記録
- 1766年創業の歴史のあるオークションハウス「クリスティーズ」が、暗号資産での決済を受け入れたこと
バブル的とも思われる最高額の嵐。そして、アートの世界にもデジタル改革がやってきた、と思える出来事になりました。
一過性になるか、二歩目につながるか
今回のセール、額面を見るとかなり可能性を感じますが、その裏側の数字をみてみると新たな側面が見えてきます。
- 今回のオークションは、33人が競り合って入札し、そのうち新規ユーザーは91%だった。
- 年齢別にユーザーを見ると、X世代(1965〜1980)が33%、ミレニアル世代(1981〜1996)が58%を占めていた。
(出典:美術手帖)
これまで参加していたコレクター(既存ユーザー)がこの競りに手を出していない、と考えると限定的な盛り上がりとも予想できます。
また、比較的若い世代の参入率が高い点も気になるところです。全員がそうではないと思いますが、アート自体の良さとは別に、話題になっているからほしい!と思い加熱していった人もいたのかもしれません。
今後の盛り上がりの中に既存コレクターも入ってきて、二度、三度とこのような結果が継続して生まれたら、アート業界に新たな歴史として刻まれていくのかもしれません。
ただ、「NFTアートが話題になった」と言える出来事にはなったと思います。
ちなみに、現存アーティストの最高額は、以下の通りです。
1位 ジェフ・クーンズ《ラビット》9107万5000ドル(約100億円)
2位 デイヴィッド・ホックニー《芸術家の肖像画―プールと2人の人物―》9031万2500ドル(約99億円)
まとめ:どんなアートも「観て楽しむ」を大事にしたい
NFTによってデジタルアートに希少価値が生まれ、アート作品として高額な落札が注目されるようになりました。デジタルアートの誕生によって、新たに参入するコレクターも爆発的に増え、アート業界に盛り上がりが生まれるきっかけになるのかなと思います。
一方で、この傾向はバブル的な勢いも感じます。新規でオークションに参加した人がどんな思いで競りに参加したかはわかりません。ただ、いちアート好きとしては、アートはじかに「観て楽しむ」ことも大事にしたいなと思います。
アーティストの想いや技術といった、理屈だけでは説明できない、割り切れない部分もまとめて表現されたのがアート作品だと思っています。作品とともに人生の喜怒哀楽を一緒に歩みながら楽しむのが、アート鑑賞の醍醐味ではないかなと思います。
それこそ人生は割り切れないことであふれていると思いますし。その楽しみ方を、アート作品は鑑賞を通して教えてくれる気がします。
デジタルアートも、アーティストさんにとっては大切な作品であることに変わりはないと思います。アーティストにとっても観る側にとっても、NFTのいいところを活用していく未来になればいいなと思うのでした。
参考リンク
- デジタルデータの革命到来、 NFT(ノンファンジブル・トークン)とは何か?(あたらしい経済)
- NFTは「アート業界」を変えるか?(あたらしい経済)
- Nyan Cat is being sold as a one-of-a-kind piece of crypto art(THE VERGE)
- 非代替性トークンNFTとは|主な特徴と将来性を解説(COINPOST)
- デジタル資産の「NFT」という、“所有できる幻覚”の価値(WIRED)