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2021年宇宙の旅 モノリス|人の持つ宇宙級の発想力が集結したグループ展

よしてる

今回は赤瀬川原平さんの《宇宙の罐詰》でご紹介できなかった「2021年宇宙の旅 モノリス」展覧会全体のご紹介をしていきます。

今回の記事を読むと、3つのことが分かります。

  • コンセプトを知らなくても、展覧会はある程度楽しめる。
  • コンセプトを知っていると、より楽しめる。
  • 宇宙のような発想力を持つ人(自分を含め)の可能性を知れる。

私見も入っていますが、これから展覧会に行くことを検討されている方の参考になれば幸いです。

展覧会のタイトルってどんな意味?

まず、「2021年宇宙の旅 モノリス」とはどういう意味でしょう。私自身、初めて見たときは「宇宙とアートのコラボレーションなのかな」と思っていました。そんな疑問を持つ方もいらっしゃると思うので、簡単にご紹介していきます。

タイトルの由来ですが、これは1968年に上映されたSF映画「2001年宇宙の旅」のちょうど20年経った今年、という意味です。

2001年宇宙の旅とは?

映画史に残る名作であり金字塔のSF作品です。月に人が住むようになった時代に月のクレーターの地中から謎の石碑が発掘されます。その18ヶ月後に最新型人工知能「HAL(ハル)9000型コンピュータ」を搭載した宇宙船ディスカバリー号が5人のクルーを乗せて木星探査に向けて航行。その中でHALが暴走を起こし。。というお話です。難解な作品ですが、それゆえに何度も見てしまう人も多数。

ー参考:映画.com|2001年宇宙の旅

赤瀬川原平さんの《宇宙の罐詰》は知っていて、それを観てみたいなという想いで足を運日ました。

ひとまず今回は、この映画の世界の20年後の今年がどんな世界になっているのか、というコンセプトだけを知った上で、展覧会の内容を見てみましょう。

ここから先の内容は、映画を知らない状態でのご案内になります。

展示作品を鑑賞

序の部屋:謎の石碑

《モノリス》
ファサード

ギャラリーに入って目の前に現れるのがこの石碑です。どうやら映画に関係する石碑のようです。単に見ていると、巨大な墓石にも見えます。これが良いものの象徴なのか、悪いものの象徴なのか、展覧会を見てから判断してください、と問いかけられているようでした。

1の部屋:時空の歪み

次の部屋に進むと、大きく4つの作品(缶詰、円盤、絵画、時計)が現れます。その中から2つに絞ってご紹介します。

《宇宙の罐詰》
赤瀬川原平

人の発想によって、空間の概念を逆転させてしまう作品です。見方次第では宇宙すら捉えてしまう、人の発想力を感じます。

《Syphon Mirror- Kuro》
アニッシュ・カプーア

作品をアップして撮影した写真です。黒い円盤の中心にくぼみがあり、そこに光が当たっていないためか漆黒に見えます。接写をすると、くぼみの中心に自分が写っていることは確認できましたが、肉眼ではなかなか見えずブラックホールを見ているようでした。

作品を鑑賞して感じたことは、宇宙との境界線です。発想によって閉じ込められる宇宙やブラックホールのような空間を見て「境界線はどこなのだろう」と思いました。

2の部屋:月面とポストトゥルース

次の部屋にも大きく4つの作品が展示されていました。

識別子:スタンリー・キューブリック 1969

この動画が個人的には印象に残りました。月面着陸の映像なのですが、それがネバダ砂漠で撮影されたことを示す映像です。監督であろう人と陽気に会話する姿などが残されていました。

《100万の王国》
ピエール・ユイグ

「アン・リー」という2次元のキャラクターが三次元の氷山のような空間をさ迷う映像です。その地形の色はどことなく月面を思わせ、とげが生えてきて歩きにくいであろう足元を、まるでいつも通りの散歩のように、淡々と歩いていきます。

2の部屋は人類は月面に到達できたのか?という真偽を問うているような空間でした。技術が今ほど発展する前からフェイクニュースは存在していたのなら、現代はもっと巧妙に世界を包んでいるのかもしれません。

そこにある善悪はさておき、作品たちは今の世の中で起きていることを比喩的に、ユーモアを持って表現しているようでした。

3の部屋:隠喩としてのスターチャイルド

次の部屋には大きく3つの作品が展示してありました。この空間は人とはまた違った生命を感じることのできる空間になっていました。

《FORMATA》
プロトエイリアン・プロジェクト(Proto-A)

ボンベが両脇に置かれた、実験心をくすぐる作品です。中央にあるガラスの中は原始的な惑星を模した環境となっていて、その中には赤い液状物質が動き回っていました。”生命のような何か”は人のような個体ではありませんでしたが、生命のような振る舞いを観た時、「こういう生命が宇宙にいるのかもしれない」と感じさせます。

※スターチャイルドとは「肉体を脱した精神のみの生命体」のことです。これは、2001年宇宙の旅を観たら分かる内容とのこと。

まとめ

全ての部屋を周って、また最初の石碑の部屋に戻りました。

映画の内容は知らなかった私ですが、今回の展覧会を通して、以下のことを感じました。

  • 宇宙規模で見たときに、自分たちのように四肢がある生命体とは次元の違う生命がいるかもしれないという好奇心。
  • 地球の中では真偽が定かでない意見が錯綜していて、結局のところ月や惑星に行ってみないと分からないことばかりということ。
  • 人の想像力は宇宙のようで、その力があるから宇宙に行ってみようと思えているということ。

石碑が墓石のようだと最初は感じましたが、人の想像力でこれまで培ってきた英知の結晶にも見えてきました。アートを観てから、このコンセプトの基となった「2001年宇宙の旅」を観るのもいいかもしれないです。

楽しみ方はどちらでもいいと思います、気になった方は是非、ギャラリーか映画に歩みを進めてみてください。

展示会情報

展覧会名2021年宇宙の旅 モノリス
_ウイルスとしての記憶、そしてニュー・ダーク・エイジの彼方へ
会場GYRE GALLERY
東京都渋谷区神宮前 5-10-1 GYRE3F
会期2021年2月19日(金)- 4月25日(日)
11:00 – 20:00
サイトhttps://gyre-omotesando.com/artandgallery/2021-a-space-odyssey/
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東京の展覧会をめぐりながら「アートの割り切れない楽しさ」をブログで探究してます。2021年から無理のない範囲でアート購入もスタートし、コレクション数は15点ほど(2022年11月時点)
好きな動物はうずら。
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