古賀学、仲衿香、増田麻由「3人10」|3つの世界観に浸るアート鑑賞
今回は銀座の「シンワアートミュージアム」にて開催した古賀学さん、仲衿香さん、増田麻由さんのグループ展「3人10」の模様をご紹介します。
この記事を読むとこんなことが分かります。
- 古賀学さん、仲衿香さん、増田麻由さんの作品を知ることができる。
- 世界観の異なる3名の作品を楽しめる。
- 「100人10」というアートとの出会える場所を知れる。
今回のグループ展は、アート作品を手に入れることに興味はあったけれど、出会う場所や方法がわからなかった人にとっては、「こういうアートもあるのか!」と発見になる場所でした。中には抽選販売される作品もあったので、作家さんのことや作品を知り、「これ自分の好みだな」と感じるものがあれば、購入を検討しても良いかもしれません。
それでは、新たなアートに出会うグループ展を観ていきましょう!
グループ展「3人10(さんにんてん)」とは?
アートコンペティション「100人10」でアワード受賞した3名による展覧会
今回の「3人10(さんにんてん)」へ至る手前に、「100人10(ひゃくにんてん)」というアートコンペティションが昨年開催されていました。
厳正なる審査を通過したアーティスト100人の作品を、一律10万円で抽選販売するというものです。特にアート作品を手に入れることに興味はあったけれど、出会う場所や方法がわからなかった人にとっては、一度に100人のアーティスト作品と出会える場となっていました。
自分にとって「いいな!」と感じるアートと出会い、実際にコレクションの一歩を踏み出すには、良い環境のように感じます。
このアートコンペティションの中で、100人10でアワード受賞をした3名が集まり開催した展覧会が、「3人10(さんにんてん)」です。
今回の出展アーティストはこちらの3名です。
- 古賀学さん(Shinwa Auction賞 受賞)
- 仲衿香さん(between the arts賞 受賞)
- 増田麻由さん(Shinwa ARTEX賞 受賞)
展覧会の中では非売品のものもある中で、一部をオンラインにて抽選販売もしていました。「100人10」を見逃した方は、新たな作家との出会いや、自分の琴線に触れるアートがあれば購入できる可能性もある場にもなりそうです。
2021年12月に第2回「100人10」が予定されているようなので、それに先んじてどんな作品があるのかを観に行く機会にもなりそうです。
「3人10(さんにんてん)」展覧会作品を鑑賞
それでは、今回の展覧会の模様を観ていきましょう!
古賀学
古賀学(こが まなぶ)さんは、長崎県出身のアーティストです。
「水中ニーソ」というシリーズという写真集を出されていることで知られています。今回の展示の中では46点と、一番の展示数でした。
被写体と一緒にダイビングをして、水の中で見せる自然な表情や一瞬の景色を撮影し、その後に写真の再構築をして作品化されています。
Pool(White Swimsuit)
Bathtub(Mint)
プールの形をした作品の中で、ダイビングをした女性が浮遊している映像作品が展示していました。水中撮影の様子をライブ配信で観ているようです。
いずれこういう映像作品の360°観れるバーションなんかも観てみたいな、なんて想像もしてみたりしていました。
CB003
CB001
透明なキューブ内に女性ダイバーが入った作品。水中とはまた違った雰囲気を醸し出しています。
Magazine Cover
Dark Lord 01 Long
また、縦長の作品にも心惹かれました。横幅の細さとシンプルな背景により、等身大に近い被写体のみに視線が運ばれていきます。作品に間があるためか、日本の掛け軸のような印象を受けます。
また、水が光を淡くして肌を照らしているところが、女性のしなやかさや可憐な美しさを強調しているようにみえます。
Mint in Box – MIB03
フィギュアセット作品の展示も、これまでのギャラリーでは観たことがなく、初の鑑賞体験でした。
仲衿香
仲衿香(なか えりか)さんは長野県出身のアーティストです。
作品に用いるモチーフは、断片的なロゴや現代にある特徴的なモチーフなどで、それを絵画作品にしています。
特徴的なのが、絵具を支持体に厚塗りして、ときに一度描いた箇所をえぐるようにして作品化していることです。
landscape of the web #7
絵具が自分の予想を超えた動きをする瞬間があり、自分と支持体の間に“ズレ”が生じる。思い通りにならないそのズレにこそ、魅力がある、と考えているのだそうです。
今回の作品群はGoogleの検索エンジンのソースコードをモチーフにしていて、HTMLの記号が羅列されていました。
landscape of the web #8
カッコの周りを丸くなぞることで、そこに顔文字が潜んでいるようにもみえてかわいらしいです。
landscape of the web #10
また、厚塗りのうねりも印象的で、今ある技術はいずれは溶けてなくなってしまう様子を描いているようにもみえました。
増田麻由
Streamer
増田麻由(ますだ まゆ)さんは徳島県生まれのアーティストです。
ジャスダンサーとしてや映像作品への出演、被写体としても活動されているそうで、 人体の表現そのものが好きなんだそうです。
作品には現代に生きる人として日々感じることを、人体をモチーフにした作品に地球からエネルギーを浴びて生える「木」を用いて表現しています。
今回の展覧会には2点と少なめの展示でしたが、特にへの字態勢をした作品の存在感があり、見応えがあります。
背中から観ると舌のようにも見え、人の身体とは感じない滑らかさがありました。
その表情は冷静さを持っているようで、いったい何を考えているのか、不思議な作品でした。
暁
今年に制作された作品も展示してありました。ロープのように束ねられた手足の作品も不思議な世界観を醸し出しています。
生活様式が大きく変わり、縛りの多い年を反映した作品のようにも見えます。それでも手足を上に伸ばし、前に進もうとする人の希望も同時に感じます。
今を切り取り人の身体で表現するところが、ジャスダンサーでもある作家ならではの表現方法だなと感じました。
まとめ:グループ展だから観れる景色
グループ展「3人10(さんにんてん)」の模様をまとめました。三者三様の世界観は情報量が多く、かなりおなか一杯になる展示でした。
また、今年の「100人10」は存在を知らず参加はできませんでしたが、次回の2021年12月の第2回もきっと新たなアートとの出会いの場になるのだろうなと思います。
これからアートを知りたい!という方は一度にたくさんの作家さんと出逢えるチャンスになると思います。アートとの出会いの参考にしていただけたら嬉しいです。
展示会情報
展覧会名 | グループ展「3人10(さんにんてん)」 |
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会場 | Shinwa Auction株式会社「シンワアートミュージアム」 東京都中央区銀座7-4-12 銀座メディカルビル1F・B1F |
会期 | 2021年7月20日(火) ~7月28日(水) ※会期中は休館日なし |
開廊時間 | 11:00 ~18:00 |
サイト | 【展覧会開催中・28日まで】3人10(さんにんてん)【古賀学/仲衿香/増田麻由】 ※抽選販売もこちらからチェックできます。 |
観覧料 | 無料 |
作家情報 | 古賀 学さん:Instagram|@manabukoga_underwater 仲衿 香さん:Instagram|@u_n_b 増田 麻由さん:Instagram|@mayu_tttt |
関連書籍
古賀さんの代表作です。「競泳水着+ニーハイソックス=なぜかカワイイ」を感じることができます。