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0.8%しか経験しないアートの買い方|作品の探し方から購入の流れまでを5ステップで詳しく解説

よしてる
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アート購入に関心があっても、実際に作品を買う人はわずか0.8%しかいません。

1000人に8人という数字を超えた人は、どのようにアートを買っているのでしょうか。

ネットや人から地道に情報収集しながら作品購入をしてきた3年分の経験を集約し、会社員向けに好みの作品を選び自宅に飾るためのアートの買い方を5ステップで詳しくまとめました。

  • 展覧会の情報収集の仕方
  • 作品の鑑賞方法
  • 好みの作品の選び方
  • 作品の買い方
  • 購入後の流れと飾り方

について、明日から使える情報を凝縮しています。

自宅だからできる好みの作品と過ごす鑑賞体験と反芻、そこにアートの醍醐味を知るきっかけがあると思います。

0.8%の壁を超えた先の世界をぜひ味わってみてください!

アート購入に関心はあっても実際に買う人は0.8%

まずはアートの購入に関する興味深いデータを紹介します。

以下のデータは2021年に日本で行われた市場調査を元に作成したグラフで、アート作品の購入への関心と、過去3年間の作品購入有無をまとめたものです。

アート作品購入への関心と購入有無の関係

データを見ると、

  • アート作品の購入に関心がある人は4%
  • そのうち、過去3年間に実際に購入をした人は20%

ということが分かります。

つまり、作品購入に関心があり実際に購入もしている人は0.8%(日本人口1.243億(2023)に対して約100万人)と少ない結果で、アートに関⼼がある人でも実際の⾏動にはほぼつながっていないことが分かります。

アートを買うための情報が不足している

0.8%となる原因のひとつに、アートを買うための具体的な情報不足があると考えています。

私自身購入方法を調べたものの情報が少なく、何をどう選んで買えばいいのか分からず、初めての作品購入までに1年くらいかかりました。

今でこそ、雑誌、ネット記事などで特集されているものの、作品購入経験者、特に予算が限られる会社員がどう作品を購入しているかの情報は少ない印象があります。

そこで、本記事では実体験も交えて「この情報があれば迷わず行動できた」と思う、アートの買い方を具体的にまとめます。

暮らしの中で楽しむためのアートの買い方

作品を買う場所は「ギャラリー」が基本

作品を購入する場所には、作品が初めて世に出るプライマリーと、一度誰かの手に渡ったものが再度流通するセカンダリーがあります。

このうち、作品の購入手段はプライマリーに分類される、現役作家を直接扱うギャラリーで買うのが基本です。

その理由は5つあります。

  1. 新作を買える
  2. 贋作(ニセモノ)のリスクが低い
  3. 作家の実績や評価に応じた価格で購入できる
  4. まだプライマリーでしか流通していないことがある
  5. ギャラリーとの相性が合えば購入後も良き相談相手ができる

多くの場合、ギャラリーは作家の新作発表の場になるので、新作を購入することができます。

また、作家によっては価格面でも手に取りやすい価格帯であることが多いです。

ちなみに、セカンダリーはプライマリーで作品入手が困難な場合に検討する人が多い印象で、作家によってはまだセカンダリーに流通していない場合もあります。

①展示情報の探し方:Web、雑誌、SNSを参考に直接観に行こう

作品の展示情報は、Webメディアや雑誌、SNS(Instagram、X)などから収集できます。

Webメディアで探す場合

大小問わず、全国の展示情報を網羅的にチェックするなら、Webメディア「Tokyo Art Beatがおすすめ。

大規模な美術館から小さなギャラリーまで、展覧会情報を同等に掲載しているのが特色で、作品購入が可能なギャラリーや画廊での展覧会情報もタイムリーに掲載しています。

Tokyo Art Beat|日本と世界のアートシーンを伝えるアートメディア
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また、「GUIDE」は毎月の都内の展覧会情報を調べるのに便利です。

GUIDE|都内を中心としたギャラリー・展覧会ガイド
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雑誌で探す場合

雑誌からチェックしたい人は「美術手帖」「月刊美術」「芸術新潮」「アートコレクターズ」といった美術雑誌があります。

それぞれの雑誌に良さがありますが、中でも「アートコレクターズ」は作品購入を検討している人にも参考になる情報がよく掲載されています。

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SNSで探す場合

気になるギャラリーや作家を見つけたらinstagramXで調べるのもおすすめ。

「#ギャラリー名」「#作家名」で検索すると、鑑賞した人が撮影した写真や、作家のアカウントがあれば今までの作品もチェックできます。

行く場所に迷ったら

「どこのギャラリーに行けばいいか迷う」という人は、現代美術に特化した協会CADANに加盟しているギャラリーがおすすめ。若手から老舗まである加盟ギャラリーいずれも一定の知名度があり、アートを買う際も安心して相談できます。

CADAN|一般社団法人 日本現代美術商協会
CADAN|一般社団法人 日本現代美術商協会

CADANとは…一般社団法人日本現代美術商協会の略称。日本国内およそ50軒のコンテンポラリーアートギャラリーが加盟する非営利の業界団体。2015年の発足以来、日本の現代美術の発展に寄与することを目的に活動しています。

一番の情報源は作品を直接観ること

そして、一番の情報源は作品を直接観ること

誰かにとっては良い作品でも、自分にとっても良い作品とは限りません。

気になった展覧会を探せたらぜひ直接足を運んで、見たままを得る体験もしてみてください。

②作品を鑑賞する:作品を多角的に観て情報を消化する

会期情報をチェック

気になる作家の展覧会が見つかったら、会期をチェックしてギャラリーに足を運びましょう。

ギャラリーで開催される展覧会は一般的に「1、2週間の開催」「日、月、祝休み」「18時〜19時まで」にしているところが多いです。

平日仕事終わりに観に行くのが難しい場合は、土曜日にまとめて訪問しましょう。

ギャラリーというのは入るのにプレッシャーを感じたり、話を聞いたら買わなきゃいけないイメージを持つ人もいますが、作家を広く知らせる機会としても展覧会は開催しているので、作品を鑑賞するだけでも大歓迎だったりします。

入場料も無料なので、街の喧騒から離れるような感覚で、ギャラリーの扉を押してみましょう。

作品の見方

山田航平さん「I’LL BE YOUR MIRROR」(2024、FUMA Contemporary Tokyo / BUNKYO ART、八丁堀)

ギャラリーに入ったら、荷物が作品に当たらないように気をつけながら鑑賞していきます。

見方にはこれといった決まりはなく自由ですが、他人と同じ感想になることはない前提で、「作品の見たままを得る」ことを意識すると、自分にとって好みの作品も発見しやすくなります。

私たちがアートを見る時、目から脳へと伝達される情報は20%に対し、記憶を司る脳の一部から伝達される情報は80%とされていて、知識や経験といった記憶を基に「観ている」割合が多いといわれています。

そのため、作品を観た時の反応は千差万別になりやすく、その意味でアートは主観性が強いといえます。

まずは主観的に、作品の見たままを得ながら(何も得られなくてもよし)時間を過ごしてみる。

その上で、展覧会のタイトルや紹介文、キャプション(作品説明)を読んだり、作家やギャラリースタッフに分からないところを聞くと、自分ごとで作品を一層味わえると思います。

作家に話を聞く場合は、他の鑑賞者にも配慮して長時間になりすぎないように注意しましょう。

例えばこんな見方
《ラ・ボエーム(Blue)》
2023、山田航平、アクリル, キャンバス、145.5 × 12.0 cm

山田航平さんによる高さ150cm近くある作品。

身長と程近いサイズ感の作品でありながら、丁寧な描き込みが印象的です。
じっと見つめる目が何かを語りかけているようで、そこから視線を下に移動させると林がある風景がプリントされた服、そして背景にはひまわりも。
緑の中に身を委ね、奔放に過ごす豊さに没入していく感覚を得られます。

次に、展示の解説文を見てみると「ゴッホの死に至るほどの芸術への専心、それに伴う孤独や貧困など、いわゆる【芸術家】へのロマン & センチメンタルを軽妙に描いてみた作品」と表記されています。
そうした情報をヒントに作品を観ると、ゴッホを含めた過去の芸術家を想起させるモチーフが描かれていることが分かります。例えば、左脚にバスキアの王冠とウォーホルのドルマーク、右手にはきっとおもちゃじゃない銃、ゴッホの作品《糸杉と2人の女性》がプリントされた麦畑のような色の服、そして、意味深に左耳が隠れている顔(もしかしたら誰かに送り付けてる?)と、画家にまつわるエピソードが仕掛けのように描かれています。
脈々と続く芸術家の作品だけでなく、ひとりの人間としての作家に焦点が当てられていて、生み出した成果と自分の幸福の関係性について考えさせられます。

ちなみに、展覧会を見終わった後にギャラリーの入口か受付付近にある芳名帳に名前と連絡先を書いておくと、案内状やメールが届くようになるので、情報収集にも役立ちます。

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③作品の選び方:直接観て好みの作品を選ぼう

作品メディア(表現媒体)の選び方

三瓶玲奈さん「光をたどる」(2024、六本木、Yutaka Kikutake Gallery)

作品のメディア(表現媒体)を選ぶ時は、自宅に飾る場所があるか保管場所があるかを意識して選びましょう。

作品には、絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションなど、様々なメディアがあります。

この中で、絵画は壁を含め飾る場所の選択肢が多く、飾った時の存在感があり、保管もしやすくおすすめです。

絵画は多くの作家が制作していることから種類も豊富で、中でも原画はその手触り感、香りなど感覚的な刺激を得やすく、「アートを所有した」実感も沸きやすいです。

保管時も比較的省スペースで収納ができます。

予算が許せば原画が一番ですが、厳しければ原画よりも安価となるドローイング版画(同じ作品を数量限定で複数制作したもの、「ed. 」と表記されることが多い)も楽しめると思います。

作品サイズの選び方

安藤晶子さん「Habitable Planet」(2024、LEESAYA、不動前)

作品のサイズは、毎日観れる場所に飾れる大きさが程よいです。

大きいサイズほど絵画の設計密度が高く見応えがありますが、飾ることを重視するなら、例えば玄関やお手洗いなら0〜3号(長辺180〜273mm)リビングなら6号〜10号(長辺410〜530mm)くらいを目安に検討しましょう。

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また、絵画は号単価といって、サイズが大きくなれば価格も大きくなっていくので、その意味でもサイズを意識しておくと選びやすいです。

好みの作品の選び方

選択基準が定まっていない人は、作品を直接観て、好みだと思うアートを選ぶことから始めるのがおすすめです。

「好みの作品」というのは具体例でいうと、

  • 家に招き入れたい作品
  • 自分の好奇心を揺さぶる作品
  • 今後の活動も見たいと思える作家の作品
  • 作家の思想の断片を持ち帰りたいと思った作品

といったものです。

作品購入が初めての場合は、5〜10万円を目安にすると基準ができて選びやすくなると思います。

逆におすすめしないのは、他人の勧めや価値があるからという理由だけで選ぶこと。

私たちの多くは、音楽を聴き感動するのと同じように、美術を鑑賞し楽しめた経験が少ないため、世間や他人の評価に頼りたくなります。

評価されている作品にはそうなるべき理由がありますが、他人の評価だけを理由に買うと、自分にとって意味のある作品購入につながりにくいと思います。

自分で観て選ぶことで、高揚感のある作品購入ができ、継続的にアートを楽しむきっかけにもなります。

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あとは、同世代の作家の作品を買うのも、選び方のひとつです。

例えば、同世代が30代の作家の場合、今の年からアートの素養を蓄えていくことで、作家と一緒に成長していく楽しみ方もできます。

相談できる人との出会いも大切に

気の合う相談相手(ギャラリースタッフやアートコレクターなど)との出会いも、作品選びや、その後のアートを楽しんでいく上でも大切な要素です。

銀座にある画廊・秋華洞オーナーによる書籍にも、こんな話が書かれています。

美術品を買うということは、効率よく買うとか、簡単に買う、ということとは真逆で、現代の「便利さ」からはほど遠い世界です。なので、本当に大事なのは「人との出会い」です。骨董屋さんでも、日本画・洋画の画廊でも、現代アートでも、デパートでもオークションでも、本当に相談できる店員とか社長と出会えるかどうかが、一番大事なことです。実は、美術の目利きとか人格者どうしは、多くの場合つながっていますから、仲良くなればどんなことを誰に相談したらよいか、だんだんわかってきます。人との出会いを大事にすることが、よいコレクションを作ることの一番大事な要素です。

私自身も、ギャラリーの方やコレクターとの出会いからコレクションにつながった経験があります。

効率だけでは測れない世界だなと感じます。

④作品の買い方:自宅で長く楽しみたい作品かを大切に

販売状況を確認する

好みだと思う作品と巡り会えたら、その作品が買えるかどうかをプライスリストやキャプションの表示、それらが無ければギャラリースタッフに直接聞いてチェックします。

一般的には、赤色のシールが貼ってあったら売約済青色のシールは商談中何も表示がなければ販売中を意味します。

青色のシール、表示なしであれば、購入のチャンスが残っている作品になります。

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価格を確認する

販売中の作品であれば、受付などに置いてあるプライスリストなどを見て価格を確認します。

価格表示に「ASK」と表記されていたら、ギャラリースタッフに聞くと教えてくれます。

価格の決まり方

美術品は工業製品と違い、材料費や設備コスト、人件費などを積み上げて値付けをするわけではなく、作家のキャリアや相場から判断されます。

また、販売価格は過去に購入した人との信頼につながるものなので、上がることはあっても下がることは基本的にありません。

同じサイズ感で異なる作家の価格差は、作家が積み上げてきた評価と捉えることができます。

価格を確認した段階で想定より高価であれば、無理に買う必要はありません。

また、買うかどうか考える時間が欲しい場合は、ギャラリースタッフに相談すると「商談中」として一時的に取り置きしてくれることもあリます。

迷っている間に他の人が購入してしまった、ということはよくあるので、状況に応じて活用しましょう。

購入が難しい作品の買い方

既に高い評価を得ている作家や、購入希望者が多い作家の場合、プライマリーで買うのが難しい場合があります。

これは作家は生涯に制作できる点数が決まっていて、限られた作品数で作家の価値を上げていくために、誰にコレクションして欲しいか考えているためです。

そのため、いくら予算があっても買えないことがあり、

  • 自身のコレクションのクオリティー
  • ギャラリーとの信頼関係

などを積み上げていくことが必要となっていきます。

ウェイティングリスト抽選販売紹介などで購入のチャンスがあるケースもあるので、心から購入を希望している場合は、根気強く追うのも手段のひとつ。

作品を手にするまでの過程含めて、購入できた時の喜びはひとしおです。

作品の額装を検討

購入の意思が固まってきたら、作品の保護や飾りやすくなる額装をするかどうかを検討します。

希望すれば、追加費用でギャラリー側で額装を手配してくれる場合があります。

自分で額装したい場合は額装専門店に作品を持ち込むと対応してくれます。

具体的な額装専門店は、アートコレクターの方からよく聞くのが恵比寿にある「ジンプラ」、個人的には自由が丘の「祝日堂」をよく利用しています。

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作品によっては額装しない方が味わいが出る場合もあるので、作品に合わせてギャラリースタッフと相談してみましょう。

また、もし作品の飾り方や保管方法で気になることがあれば、合わせて確認しておきましょう。

購入手続きの流れ

自分の目で観て、作品情報や話を聞いて好みの作品だと思い、購入できる価格であれば、ギャラリースタッフに購入希望を伝えます。

支払い方法はギャラリーによって異なりますが、振込やクレジットカード決済が多い印象です。

また、支払いの他に作品売買についての同意書を書くことも多いです。

これは転売による作家への不利益防止のためのもので、少なくとも3年程度は作品の転売や譲渡をしてはいけません

同意書がなくても短期間の作品転売はどのギャラリーでも好まれず、次回の作品購入にも大きく影響してくるので、絶対しないようにしましょう。

⑤購入後の流れ:家に飾るまでがアート購入

作品の受け取り

展覧会中は作品展示が続くので、作品の受け取りは会期終了後になります。

作品の受け取り方法はギャラリー現地での受け取りか配送のいずれかを選べることが多く、持ち運べるサイズであれば、配送中の破損リスクを避けるため現地で受け取る人が多い印象です。

こうした過程を経てギャラリーで見た作品が自分の手元に届く経験からは、なんとも言い難い高揚感が得られます。

作品の状態をチェックする

作品が自宅に届いたら、梱包材を解いて作品を出してみましょう。

作品には基本的に「作品証明書(Certificate of Authenticity)」が同封されています。

作品が本物であることを証明する大切な書類なので、作品と合わせて無くさないように保管します。

ここから作品を直接触っていきますが、手の皮脂によって作品が汚れることがあるので、その場合はコットン手袋を使うと安心です(手元が滑りやすくなるので、取り扱いは慎重に)。

差し箱を開けてみると、作品出し入れ時の傷つけ防止をする黄袋が出てきます。

差し箱がお弁当箱のように蓋と身で分かれているC式などの場合は、作品を出し入れする際に傷つくリスクが少ないため、黄袋に入っていないこともあります。

黄袋

作品の表面が剥き出しの場合は、表面保護のために保護紙が使われていることが多いです。

額装していない場合は、この保護紙を取ると作品表面が剥き出しになるので、作品表面を直接触らないように注意しましょう。

保護紙で表面が保護された絵画作品

これらの梱包をといて、いよいよ作品とご対面!

作品をいろんな角度から観れることに加えて、作品の裏側を見れるのは買った人の特権です。

裏側含めて、作品全体を楽しんでみてください。

そして、作品に傷がないかコンディションをチェックしていきます。

万が一作品に傷や異常があれば、ギャラリースタッフに相談すると、対応方法を教えてくれます。

作品を自宅に飾る

作品は飾る環境によって傷つけるリスクがあるため、場所を選んで飾るようにします。

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作品は基本的に壁に立てかけて飾るか、壁に掛け具を取り付けて飾るかの2通りになります。

おすすめの飾る場所は普段よくいる部屋、特に椅子やソファなどに座ってくつろぐ時に目線が合う場所だと、自宅ならではの鑑賞を楽めて良いと思います。

絵画の飾り方は重さ別に3パターンで詳細にまとめているので、作品に合った掛け具を決めて、作品を飾りましょう。

  • 軽い作品の飾り方
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こうして実際にアートを飾ると、好きな時に好きなだけ作品を鑑賞する、自分だけの時間ができるようになります。

まとめ:自分が選んだアートを飾って味わう日々を

松川朋奈さん「Dear」(2023、KOTARO NUKAGA、天王洲)

日本で初めて現代美術を扱った東京画廊の代表・山本豊津さんは、アートを買うことについてこんなコメントをしています。

アートを見る目は、作品を買わない限り養われません。
やはり、身銭を切ると思って本気で作品と対峙するからこそ、自分の血肉になるのです。
アート作品はコミュニケーション手段です。たくさんの人に会うほうが多くのものを得られるように、たくさんのアート作品にふれて感性を磨いてください。

山本豊津さんインタビュー

これは私自身も実体験としてそうだなと思っています。

ギャラリーや美術館では作品は観れても長時間ひとつの作品を観る経験はできません。

自宅であればひとつの作品を好きなタイミングに、ゆっくり鑑賞できます。

そして、1年、2年と作家が生み出した作品世界と時間を共にしていくことで、繰り返し考えたり味わったりでき、自分では見えてこなかった瑞々しい価値観に触れることができます。

そうした個人的な経験から、身の回りや社会で起こっていることの事象を考えたり、オリジナルの感性を育んだり、立場を超えたコミュニケーションのきっかけにもつながったりもします。

アートは飾って鑑賞してこそ、その真価が分かると思っています。

今回ご紹介したアートの買い方が、あなたにとってのアートとの出会いにつながったら嬉しいです。

最新情報はInstagramをチェック!

ABOUT ME
よしてる
1993年生まれの会社員。東京を拠点に展覧会を巡りながら「アートの割り切れない楽しさ」をブログで探究してます。2021年から無理のない範囲でアート購入もスタート、コレクション数は25点ほど(2023年11月時点)。
アート数奇は月間1.2万PV(2023年10月時点)。
好きな動物はうずら。
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