アート作品の売約済、商談中、販売中の見分け方(赤、青シールの意味や他販売方法も解説)

よしてる
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コレクションしたい作品と巡り合えた時に気になるのが、その作品が購入できるかどうかです。

作品の販売状況は一般的に、キャプションや作品リストに貼られている「丸シール」を確認すれば見分けられるようになっています。

今回は初見では分かりにくい丸シールの意味と、近年顕著に見られるようになった販売方法であるウェイティングリストや抽選販売についてもご紹介します。

ギャラリーでこんな丸シール見たことありませんか?

ギャラリーに足を運んだ時に、こんな丸シールが貼られたキャプションや展示作品リストを見たことありませんか。

キャプションの例(アートフェア東京2023、塚本智也、川田画廊
展示作品リストの例(アートフェア東京2023、SNOW Contemporary

ギャラリー巡りをしている人なら、何度か目にしたことのある光景だと思います。

ただ、丸シールについての説明はないまま貼られているので、それが示す意味が分からず、スルーしてしまいがちです。

丸シールは販売状況の目印

この丸シールは、作品の販売状況を教えてくれる目印です。

作品の近くに添えられたキャプションや、ギャラリーの受付付近に置かれた展示作品リストに貼られているケースが多いです。

この丸シールを見ることで、作品がまだ購入できるかどうかが分かるようになっています。

丸シールの色による販売状況の見分け方

この丸シールは色によって意味が変わってきます。

ここでは、一般的な丸シールの色の意味をご紹介します。

赤シールは「売約済」

赤シールの例(アートフェア東京2023、小澤香奈子、TomuraLee

赤シールは「売約済」であることを示しています。

作品鑑賞は楽しめますが、既にコレクション先が決まっているため、購入はできません。

青シールは「商談中」

青シールの例(アートフェア東京2023、高松和樹、TomuraLee

青シールは「商談中」であることを示しています。

いわゆる取り置きの状態で、他のコレクターが購入検討中であることが分かります。

基本的に売約済に近い状態ですが、稀に検討中のコレクターが購入を辞退した場合、コレクションのチャンスが巡ってくる可能性があります。

もし気になる作品であれば、ギャラリーのスタッフに販売状況を確認してみましょう。

シール無は「販売中」とも限らない

シール無の例(アートフェア東京2023、瀬戸優、四季彩舎

シールが無い場合は「販売中」とも限らず、いくつかのパターンがあります。

  • 販売状況を丸シールで貼るギャラリーの場合は「販売中」
  • 既に全作品のコレクション先が決まっていてシールを貼っていない場合は「売約済」
  • キャプションや展示作品リストを置いていない場合は「スタッフへ確認」が必要

など、ギャラリーの展示方法や方針によって販売中であったり、売約済であったりします。

例えば、以下のように作品の世界観を大切にするためにキャプションを置かないケースもあり、販売状況はスタッフへの確認が必要となります。

シール無の例(アートフェア東京2023、Mr.、カイカイキキギャラリー

「丸シールを貼ってないな」というギャラリーはスタッフに聞いてみると、販売中であれば展示作品リストを見せてもらえます。

ピンや他のシール色による表示もある

一般的に用いられている丸シール以外にも、「ピン」や「他の色」が用いられている場合があります。

例えば、以下のようなものが挙げられます。

商談中の例(アートフェア東京2023、横尾忠則、たけだ美術

青いピンで表示している場合。

意味は一般的なものと同様に、商談中を表しています。

別の色シールの例(アートフェア東京2023、MAHO KUBOTA GALLERY

一般的な色ではない丸シールが貼られている場合も。

売約済を示していることが予想できます。

エディション作品の例(アートフェア東京2023、細川真希、ギャラリーセラー

シールが大量に貼られている場合もあります。

これはエディション作品の販売で、数量限定でシルクスリーン作品を販売していることが分かります。

14つのシールのうち赤が「売約済」、緑色が「商談中」であることが予想できます。

色々な表示方法を見ても分かる通り、丸シールの表示はギャラリー全体が採用している仕組みではありません。

あくまでも参考程度にしつつ、分からないことがあれば、ギャラリースタッフに気兼ねなく聞いてみましょう。

聞いてみた結果、予想よりも高額だったら場合は購入しなくても全然大丈夫です。

“赤丸シール=売約済”の認識を利用したアート作品

ちなみに、“赤丸シール=売約済の作品”を示していることを逆手に取ったアート作品も存在します。

それがVIKIさんによる作品です。

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作家自身が意図的に赤丸シールを貼り売約済と錯覚させることで「その共通認識は本当に正しいのか」を問われる作品となっています。

こういった作品ができるほど、赤丸シールという仕組みは一般的に浸透していることが伺えます。

近年顕著に見かけるようになった2つの販売方法

ここまでの販売方法は、購入希望者が早いもの順に作品を購入できる場合の仕組みでした。

ここからは、近年顕著に見かけるようになった販売方法についても簡単にご紹介します。

①ウェイティングリスト

ウェイティングリストとは、作家の作品購入希望者が作品購入の順番待ちをするためのシステムです。

順番待ちとなるので作品購入までに時間はかかりますが、順番が巡ってきたら優先的に作品を紹介してもらえます。

ウェイティングリストに記載する時に、予算に合わせて希望の作品サイズや価格帯などを伝え、要望に沿った作品が販売される際に紹介いただけるケースもあります。

②抽選販売

抽選販売の例(アートフェア東京2023、Ilya Kuvshinov、花田美術

抽選販売とは、特定の作品に対して希望者が申し込み、抽選で決まったコレクターに販売されるシステムです。

オンラインで申し込みができるケースもあり、現地に行けず作品購入が叶わない場合にも、指定作品のみですが作品購入ができる可能性があります。

こうした販売方法は転売屋によるボットでの申し込みが発生することも多く、ギャラリー側も対策に苦労していることをよく耳にします。

自分にとって良いアートコレクションを続けるために

ここからは参考程度に、コレクションをしてきて感じる個人的な体感を書いてみます。

アート作品は購入意思があり、販売中であれば、基本的に誰でも購入ができます。

一方で、作家が生涯に制作できる作品数に限りがある中で、ギャラリー側は作家のことを広く知ってもらえるように二人三脚でサポートしています。

こうした背景から、作品を誰にコレクションしてもらうかも意識していると思います。

例えば、転売屋に作品が渡るのは作品の消費につながってしまうので避けたいと考えていると思います。

そのため、

  • ギャラリーで購入意思を伝えた場合に、他にどんなコレクションをしているかの話になる
  • 抽選販売であればInstagramのアカウント入力を求められる

といったケースもあります。

ここで大事なのが、自分がどんな人なのかを誠実に伝えることだと思います。

人気作家であれば購入が難しいケースもありますが、アートが好きで長く生活を共にしていきたい作品であるという想いがあれば、もしかしたら購入チャンスが訪れるかもしれません。

何よりもアートが好きというところから、まずは自分にとって良いアートコレクションへの一歩につながればと思います。

まとめ

アート作品の売約済、商談中、販売中の見分け方についてご紹介しました。

ギャラリー巡りをしていくと、こうした共通認識の仕組みをよく目にするようになります。

言われてみれば気になる仕組みも知っていきながら、ギャラリー巡りやアートコレクションを楽しんでいきましょう!

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ABOUT ME
よしてる
1993年生まれの会社員。東京を拠点に展覧会を巡りながら「アートの割り切れない楽しさ」をブログで探究してます。2021年から無理のない範囲でアート購入もスタート、コレクション数は25点ほど(2023年11月時点)。
アート数奇は月間1.2万PV(2023年10月時点)。
好きな動物はうずら。
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