体験記
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小澤香奈子さん作品コレクション物語(アート購入の魅力とステップをご紹介)

よしてる
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なぜアートを購入するのか、アートを購入すると何が良いのか、そんな疑問はアートに慣れ親しんでいない人にとっても気になることではないでしょうか。アートコレクションは、作品ごとにいろんなストーリーを経て手に届くものだと思います。

今回はアートコレクション物語の第三弾。小澤香奈子(おざわ かなこ)さんのアート作品をコレクションしたときのストーリーをご紹介します。アートコレクションの多様なケースのうちのひとつとして、疑問解消の参考にしていただけたらと思います。

過去のアートコレクション物語 高松和樹さん編はこちら松枝悠希さん編はこちら

要点だけ知りたい人へ

まずは要点をピックアップ!

要点
  • 今回紹介するのは、小澤香奈子さんの2つの彫刻作品《正式な名前はついていない》です。
  • 小澤香奈子さんは東京工芸大学芸術学部メディアアート表現学科出身のアーティストで、子供が布を被さっている様子から着想を得たモチーフの作品を制作しています。
  • 今回はコレクションに至るまでの道筋を「①観る→②知る→③買う→④飾る」の4ステップでご紹介します。
  • 今回のコレクションをして感じたことは
    ・生活の中で純真さに立ち帰ることができる
    ・アート購入は目的と軸があるとよい
    のふたつです。

それでは、要点の内容を詳しく見ていきましょう!

コレクション作品

今回紹介するのは、こちらの作品をコレクションしたときの物語です。

小澤香奈子《正式な名前はついていない》

(左)《正式な名前はついていない》
小澤香奈子、2021、Resin,Acrylic paint,wood、9 × 9cm
(右)《正式な名前はついていない(黒)》
小澤香奈子、2021、9 × 9cm

大きな布で身を包んで足だけ出しているような、可愛らしい作品です。

小澤香奈子とは?

《動く世界とゆっくりなもの》
小澤香奈子、2021、cloth,Acrylic paint,clay、28×33×29(h)cm、アートフェア東京2021にて撮影

小澤香奈子(おざわ かなこ)さんは1988年生まれ、千葉県出身のアーティストです。2010年に東京工芸大学芸術学部メディアアート表現学科を卒業されています。その後の2013年に願船漆工房にて東京芸術大学名誉教授である大西長利さんに師事し漆美術を学び、現在は日本をはじめ、韓国、台湾、香港といったアジアのアートフェアへの出展や個展の開催をしています。

主に油彩、漆、ミクストメディアによる作品を制作していて、モチーフに脚だけを出して遊んでいるようなキャラクターが度々登場します。このキャラクターは、子供が布を被さっている様子から着想を得ているのだそうです。

作品にはかわいさの中に無邪気さが潜んでいて、その無邪気さのあまり、メッセージを伝えようとは思っているわけではなく、ただ自分が生きていることが楽しくて仕方がないようにも見えます。

ただ生きること自体に幸せを感じている、そんな純真な心の表情をあらわしているようです

作品のコレクションに至るストーリー

今回はコレクションに至るまでの道筋を「①観る→②知る→③買う→④飾る」の4ステップでご紹介してみようと思います。

①観る:アートフェアで作品を初めて観る

小澤香奈子さんの作品と出会ったのは、アートの見本市とも言われているアートフェア東京2021です。140軒もの出展数の中で足が止まり、他展示作品も観て巡りつつ、2,3回は観に戻っていました。

出展ブースでは絵画作品の他に、彫刻作品も展示していて、どちらも可愛らしい印象がありました。

このとき偶然にも小澤香奈子さんが在廊されていて、作品についてから世間話まで、気兼ねなく会話ができました。お話の中で、韓国、台湾、香港といったアジア圏での作品発表が多いことも伺い、そんな中で日本国内での展示とたまたま重なったことも、良いご縁だなと感じました。

数多い展示の中で作品のことが気になり何度か立ち寄ったこともあり、これがいわゆる一目惚れだと思い、予算も加味して小さめの彫刻作品を購入を決めました

購入理由を言語化できないまま一目惚れでアート作品を購入したのは、今回が初めてとなりました。

②知る:SNSでこれまでの作品を知る

アートフェア東京2021終了後、「作品を持っている以上、アーティストのことも知っておきたい!」と思い、SNSも見てみることに。

小澤香奈子さんInstagram:
Work @kanakoozawa.works/Daily @kanako_ozawa

他のアーティストでも目にしますが、Instagramアカウントをアート作品投稿用(Work)と、日常の気ままな投稿用(Daily)とに使い分けている場合が多いです小澤香奈子さんもそのように使い分けているようでした。

アート作品投稿用(Work)では、これまでの作品をチェックできます

上の作品は《××%の情報、○○%の充実》(2012)という油彩画で、在り方はほとんど一緒の子がうっすらと寒色と暖色に塗り分けられています。周りの環境のネガティブとポジティブの割合(%)が卵型の子にも影響を与えていく、そんな印象を感じる作品です。

《ワルノリライダー (Half joking,half serious)》(2012)では卵型の子は三輪車に乗っていて、まるで子供の遊びを真似しているようです。

これら含め、いくつかの作品を観ているうちに、子供の持つ無邪気さがキーワードとして見えてきました。作品を購入したとき、もしかしたら「無邪気さを持ち続けた大人への憧れ」があって、その気持ちを忘れずに持ち続けたい想いから手に取ったのかなと振り返っていました

一方、日常の気ままな投稿用(Daily)では作家の日常をメインで配信していて、日記のように日常を垣間見れる場となっています。日々感じていることを文章にしたり、ときには制作作品が形となる過程について知れたりできます。

「まずは作品をいっぱい観てみたい!」という方はWorkから観てみるのがおすすめです。

③買う:ギャラリーで購入

アートフェア東京2021でアート作品を購入した際に、国内で久しぶりに個展開催をすること、そこで購入した作品の漆バージョンも展示することを知ったので、個展にも伺うことにしました。

小澤香奈子さんの個展「しじまの空寝」(2021)の模様はこちらでレポートしています。

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白を基調とした作品空間が心地よく、癒される感覚のある個展でした。

《正式な名前はついていない》
小澤香奈子、2021、9 × 9cm

その中に、《正式な名前はついていない》の漆バージョンも展示していました。黒、赤、黄の3パターンあり、色によって雰囲気も異なる作品でした。

漆ならではの艶感があり、時間をかけてだんだんと独自の艶があらわれてくることも教えていただきました。時間経過によって表情を変えていくであろう漆の子は、あせらず、ゆっくりと時間経過を楽しむ大切さを教えてくれているようでした。

《“26”-2-》
小澤香奈子、2021

ちなみに、個展作品を鑑賞していた中で、《“26”-2-》という絵画作品も印象深くていいなと感じました。

どちらかは家に飾りたいと思い、二者択一でとても迷いましたが、先に購入した《正式な名前はついていない》と対を成し、「無邪気な姿と時間をかけて良くしていく姿(という勝手な解釈)」で飾るのが良さそうという結論に至り、漆バージョンの彫刻作品を購入しました

また、絵画作品だと年間で決めているアート作品購入予算を超えてしまったため、今回は断念し、来年以降の自分自身の頑張りに期待することに。

④飾る:デスクに飾る

(左)《正式な名前はついていない》
小澤香奈子、2021、Resin,Acrylic paint,wood、9 × 9cm
(右)《正式な名前はついていない(黒)》
小澤香奈子、2021、9 × 9cm

置いて飾るタイプの作品購入は、今回が初めてでした。

絵画作品とは異なり、彫刻作品は机、棚など飾る場所にある程度幅があります。その中で今回の作品はデスクの上に飾ることにしました。作品が小柄であるため飾りやすいことと、「無邪気な姿と時間をかけて良くしていく姿」はふとした時に鑑賞していきたいと思ったためです。

ただ、デスクといえば埃が溜まりやすい場所でもあります。そこで、埃から作品を防ぐためにコレクションケースを使ってみることにしました

UVカットのコレクションケースもありましたが、若干不透明さを感じて鑑賞しづらそうな印象があったので、今回は透明なケースにして、直接太陽の光が当たらない場所に置くことにしました。

また、置いて飾る場合は地震対策も考慮したほうが良いので、耐震用のゲルをケースの下に貼り付けています。作品自体にも貼りたいところですが、剥がす際に作品が傷つくリスクが怖いので、コレクションケースが落下しないようにする形にしています。

アートコレクションを通して感じたこと

今回のコレクションを通して、2つのことを感じました。

1. 生活の中で純真さに立ち帰ることができる

アートコレクションをして一番良いと感じたのは、生活の中で作品と寄り添えることです。

作品を観る度に、アートフェアでの一目惚れや、ギャラリーで真剣に選び手にする過程といった、あまり経験してこなかったことができた記憶が思い出され、初心に戻ってリスタートする良いきっかけになってくれています。

また、仕事をしていて煮詰まったときには、作品を鑑賞することで刺激をもらえ、凝り固まった思考を、その無邪気な仕草で解きほぐしてくれルような感覚になります。

このように、鑑賞者を純真な状態にリセットしてくれ、癒しの場となってくれています。

そして、今後時間の経過とともに、少しずつ変化していく作品をいつでも鑑賞できるのも、作品を所有しているからこそできることであり、もうひとつの楽しみですね。

2. アート購入は目的と軸があると基準ができる

作品との出会いは一期一会で、その場の判断力も大切と言われることがあります。

予算にそこまで制限がなければ好きな作品を購入しやすくなり魅力的ですが、全員がそのスタイルを取れる訳ではないと思います。

私も今回の作品購入の中で予算の都合により二者択一となりましたが、ここで大事だなと感じたのが、自分がどんな目的で、どんな軸を持ってアート作品を購入しているのかということでした。

私の場合は、現段階では以下の目的と購入の軸であることに気づきました。

目的:
・生活に寄り添いながら何らかのエネルギーをもらえる作品である
購入の軸:
・年間のアート購入の予算を決めて、それを超えて購入しないこと

無理のない範囲でのアート作品購入を軸にして、予算感もある程度決めて、その中で生活に寄り添う作品を真剣に選択するようにする今回のアート作品購入を通して、そんな作品購入に伴う考え方も発見できました。

自分に合ったスタイルでアートを楽しもう!

今回は小澤香奈子さんの作品コレクションについて振り返ってみました。

自分に合ったスタイルで吟味し、素敵な作品とのご縁に恵まれたとき、言葉ではうまく表現できない喜びを感じることができるはず。

この経験が、これからアート作品の購入を検討している人の参考になれば嬉しいです!

アーティスト情報

小澤香奈子(おざわ かなこ)さん

Instagram:Work @kanakoozawa.works/Daily @kanako_ozawa
Twitter:@kanakoozawa
HP:https://kanakoozawa.com/

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飾るために使った道具

※サムネイル画像は撮影画像を元にCanvaで編集したものを使用しています。

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ABOUT ME
よしてる
1993年生まれの会社員。東京を拠点に展覧会を巡りながら「アートの割り切れない楽しさ」をブログで探究してます。2021年から無理のない範囲でアート購入もスタート、コレクション数は25点ほど(2023年11月時点)。
アート数奇は月間1.2万PV(2023年10月時点)。
好きな動物はうずら。
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