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小澤香奈子「しじまの空寝」|無邪気で奔放な情景を思い出す

こんにちは!よしてる(@uzuraism_)です。

今回は小澤香奈子(おざわかなこ)さんの展覧会「しじまの空寝」の模様をご紹介します。

この記事を読むとこんなことが分かります。

・小澤香奈子さんと作品のことを知れる
・TomuraLeeギャラリーでの個展「しじまの空寝」の模様を知れる。
・作品を通して、束縛されず、自由に、気ままなふるまいをしていた幼少期の心を思い出せる。

独特のキャラクターが無邪気に楽しんでいる様子を観ていると、公園へ駆け出したくなります。

そんな理由の要らないワクワク感を、一緒に体感していけたら嬉しいです!

それでは観ていきましょう。

小澤香奈子さんとは

小澤さんは千葉県生まれのアーティストさんです。

日本をはじめ、韓国、台湾、香港といった東アジアでアートフェアへの出展や個展の開催をしています。

直近では国外での活動が多かったようで、日本ではアートフェア東京への出展がメインだったようです。

僕自身、小澤さんの作品はアートフェア東京2021が初めましてでした。

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モチーフとなっているキャラクター

小澤さんの作品には、脚だけを出して遊んでいるようなキャラクターが度々登場します。

このキャラクターは、子供が布を被さっている様子から着想を得ているのだそうです。

かわいさの中に無邪気さが潜んでいて、大人になってもなんでも触ってみたり、口に入れてみたりする、子供のように楽しんでいるようです。

制約なんてなく、ただ生きること自体に幸せを感じているようにも見えます。

奔放不羈になれる作品

小澤さんの作品を鑑賞していると、ふと奔放不羈(ほんぽうふひ)という言葉が思い浮かびました。

奔放不羈(ほんぽうふひ)とは?
世間のきまりやしきたりに束縛されないで、思うままにふるまうこと。
「奔放」も「不羈」も、物事に束縛されずに、行動が自由気ままであることを意味しています。

大人になるにつれて制約が多くなった気がして、しっかりしなくてはと思って生きていく日々。

その意識をほぐしてくれるような感覚があり、制約のもとは自分で選択していることに気づきます。

もっとも、作品に登場するキャラクター自体はそんなメッセージを伝えようとは思っているわけではなく、ただ自分が生きていることが楽しくて仕方がないのだろうなと感じます。

そんな姿勢を感じとれるあたりは、まるで子どもの笑顔を見て癒されるような感覚と似ているのかもしれません。

展覧会の模様を観るー絵画作品ー

それでは、奔放不羈な様子あふれる作品を絵画作品、立体作品に分けて観ていきましょう!

1. 生まれた日・生まれた時間

《生まれた日・生まれた時間》2021、panel , acrylic paint , sand、72.5×91cm

ギャラリーの受付隣に展示していた作品。

まるでシンクロナイズドスイミングのバレーレッグを練習しているかのようなワンシーンです。

画面上部に広めの空間があるためか、脚がより長く伸びてみえます。

仰向けになって天に脚をあげる行動を、今はするだろうかと考えながら観ていました。

身体が動いていること=生きていることが面白いと、この子は感じているのかもしれません。

例えば脚が動いているだけでも幸せであると、幸せの基準を変えて観れたら、今の生活はかなり豊かなのかもしれないと気づけるような気がします。

2. わたしはからだを内緒にしている(secret)

《わたしはからだを内緒にしている(secret)》2021、panel , acrylic paint , clay、22.7×15.8cm

今回のインバイトのキービジュアルになっていた作品です。

4人の子たちとその身長と同じくらいはある5つの円柱が描かれています。

・一番右の円柱の縁色が異なる
・右から2番目の円柱が倒れている

ところに目を惹かれます。

想像するに、かくれんぼをしているのかなと。

色のついた円柱の中に、もう一人隠れているのではないかと。

と、想像をふくらますような表現が、まるでサン=テグジュペリの「星の王子さま」に出てくる、箱の中に入った羊の絵のようでした。

自分だけが見える特別な羊のように、円柱の中でからだを内緒にしている子の方が気になる作品でした。

3. 意図の立ち位置(The position of the intention)

《意図の立ち位置(The position of the intention)》2021、panel , acrylic paint , clay、41×24.5cm

個人的に好きなワンシーンだなと感じた作品。

糸電話の間で木が盗み聞きしているような構図で、木の根元にはしっかりと紙コップが置かれています。

木が振動しやすくない限り糸電話は相手には聞こえなくなるはずなのに、木が意志をもって遊びに加わろうとしているのがかわいらしいです。

「ありえない」と思った瞬間は常識を学んだ成果であり、想像力を脇に置いた瞬間でもあるのかもしれません。

何かに時間を忘れて熱中したり、自分が想像したものを生み出すために身の周りにあるものを(本来の使い方とは関係なしに)活かす生き方を思い出せたような気がします。

生きていく上でも常識と想像力のバランスが大事だなと感じました。

展覧会の模様を観るー立体作品ー

1. 山の子

《山の子》

ギャラリー内の中央にドドンっとたっている作品。

白い部分を雲だと捉えたならば巨人以上に大きくみえ、人生で初めて立った瞬間と捉えたならば地面の感触を踏みしめているようにみえます。

 

タイトルの《山の子》から想像するに、身体が小さい頃には想像もしなかったような大きさに成長するんだよというイメージを感じました。

また、作品を裏から見てみると右端を少し浮かせていて、歩き出す瞬間のようにも見えます。

ハイハイの状態から人生で初めて歩けた瞬間はもう記憶にありませんが、初めて全身に重力を感じながら両脚で支える瞬間というのは、自立したと感じたのかもしれません。

行動範囲が圧倒的に広がるし、自由になった両手で世界にあるものを掴めるようになる。

そんな記憶にない思い出を疑似体験できるような作品でした。

2. 空寝

《空寝》

こちらは個展タイトルにも入っていた《空寝》という作品です。

木でできた葉っぱの上にうつ伏せになって寝ているようです。

こちらの子は漆が塗られていて、独特の雰囲気を持っていました。

漆は時を経てだんだんと冴え、独自の艶があらわれていきます。

時間経過によって表情を変えていくであろう漆の子は、あせらず、ゆっくりと時間経過を楽しむ大切さを教えてくれているようでした。

デジタル化が進み情報の届くスピードもはやくなった現代で、長い時間のながれを楽しむ余裕もあったほうがいいなと感じました。

まとめ|無邪気なあの頃の景色を思い出す

小澤香奈子さんの個展を振り返ると、当たり前になっていた景色が新鮮な色を取り戻すような感覚がありました。

脚だけを出した子の作品はどれも、生きていることを全力で楽しんでいるように見えました。

子どもの頃は無邪気になんでも触ったり、口に入れたり、危ないことも好奇心で突き進んでいたのに、大人になってからは、自分を何かで満たそうとしながら生きていたのかもしれません

今まで当たり前だった景色を、無邪気な心で観察しなおしたら、再発見や新たな発見があるかもしれません。

いろんな観方ができる、すてきな作品でした。

展示会情報

展覧会名小澤香奈子 個展「しじまの空寝」
会場TomuraLee
東京都中央区銀座3-9-4 第一文成ビル603
銀座駅より徒歩5分
東銀座駅より徒歩3分
会期2021年7月9日(金)~7月21日(水)
※日曜休廊
開廊時間10:30~18:30(土曜のみ18:00まで)
サイトhttps://tomuralee.com/exhibition/exhibition-296/
観覧料無料
作家情報小澤香奈子(おざわかなこ)さん
HP:http://kanakoozawa.com/
Instagram:@kanakoozawa.works
twitter:@kanakoozawa

 

ABOUT ME
よしてる
東京でアート巡りををしながら「アートの割り切れない楽しさ」を探究している理系男子です。会社員をしながら、週末アートウォッチをしています。 2021年から無理のない範囲でアート作品の購入も始めました。 好きな動物はうずら。

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