書籍

【書籍紹介】めくるめく現代アート|イラストが知的好奇心くすぐる現代アート入門書

イラストと簡潔な解説で「アート=難しい」から「アート=やわらかい」にしてくれる、現代アートのおすすめ入門書といえばこれ!

今回は筧菜奈子さんが執筆した著書「めくるめく現代アート イラストで楽しむ世界の作家とキーワード」の特長とおすすめポイントをご紹介します。

要点だけ知りたい人へ

まずは要点をピックアップ!

要点
  • 著者は美術/装飾史研究者・作家の筧菜奈子(かけいななこ)さん。
  • 10代のときに読んでもわかる現代アートの本。
  • 作品や肖像などが全てイラストで描かれているため、コミック感覚で読み進められる。
  • 本書の前半では、1950年代以降の厳選40組のアーティストと代表作をフルカラー見開きで解説。
  • 本書の後半では、現代アートに登場する38の必須キーワードを紹介。

要点の内容を詳しく知りたい方は、続きもご覧ください!

本書の特長:10代のときに読んでもわかる現代アートの本

本書の特徴は、筧さん自身が10代のときに読んでもわかるように現代アート解説をしている点です。

著者自身美術大学に通っていましたが、美術館や大学キャンパスで同時代の作品を観るたびに、「なぜこの作品が評価されるのだろう?」と思い、現代アートは難しいと感じていたそうです。

そんな経験をしている筧さんだからこそ、「アート=難しい」の視点に立って、アーティストや作品、キーワードをやわらかい表現で紹介しています。

今、アートに少しでも興味がある若い人たちから、美術館巡りはしているけど現代アートはちょっと分からないという人にまで、知的好奇心をくすぐるような体験ができます。

現代アートのとっつきにくさを緩和する3つの工夫

1. 書き下ろしイラストでやわらかく解説している

「めくるめく現代アート」のガイド役キャラクター
右がドットちゃん、左がキュブくん

「めくるめく現代アート」では写真を一切使わずに、筧さん自身が作品・肖像画などのイラストを書き下ろしているところが大きな特徴です。

アート作品の写真ばかり載っているのも参考にはなりますが、どこか参考書や図解のような印象になり、とっつきにくくなってしまいます。

本書ではガイド役として「キュブくん」と「ドットちゃん」という二人のオリジナルキャラクターが登場し、イラストでデフォルメされた作品をチェックできるので、コミック感覚で気軽に読み進めることができます

また、イラストであることの利点として、「生と死」をテーマにした作品を制作するダミアン・ハーストさんのようなショッキングな作品もデフォルメされているため、子どもでも作品を受け取りやすくなっています。

2. 厳選40組のアーティストと代表作をフルカラー見開きで解説

ジャクソン・ポロックさん(1912〜1956、アメリカ)の解説ページ

本書の前半は主に1950年代以降に活動してきた40組のアーティストを見開きフルカラーで紹介しています。

右ページには代表的作品や肖像がイラストで描かれていて、代表的作品とアーティストをイメージで紐付けて覚えやすくなっています。

左ページには重要なエピソードなどが紹介されていて、なでこのアーティストが有名なのか、どんな作品を制作してきたかなどが簡潔にまとめられています。

例えば、近代絵画の臨界点を追求した20世紀アメリカ最大の巨匠ジャクソン・ポロックさんであれば、

  • 右ページに代表的作品である
    《No.1A,1948》(1948)
    のイラストと肖像
  • 左ページに制作の特徴である
    「オールオーヴァー絵画」、「ドリッピング/ポアリング」、「ブラック・ペインティング」
    などについての簡潔な解説

が見開き1ページで紹介されています。この見開きの情報量だけでも、話題として大いに活躍してくれるのではと思います。

ちなみに、《No.1A,1948》(1948)の絵画は2006年のオークションで1億6540万ドル(約190億円)で売買された作品です。

3. 意外と知らない、でも気になる現代アート38のキーワードを知れる

インスタレーション、パブリックアートについての解説ページ

本書の後半は現代アートに登場する38の必須キーワードを紹介しています。

1〜2ページで重要な動向や、覚えておきたい概念などをピンクと黒の二色刷りで紹介しています。

キーワードに関連する現代アートの代表作品もイラストで登場するので、言葉とイメージの両方をセットでチェックできるのも良心的です。

例えば、公共の場所に設置されるアートの総称である「パブリック・アート」であれば、

  • 新宿にある有名なパブリックアート
    《LOVE》(ロバート・インディアナ、1993)
  • ファーレ立川に109点もあるアート作品のうちのひとつ
    《浮くかたちー赤・垂》(植松奎二、1994)

も紹介されています。

他にも、日本ならではの「おたく文化」や今後のデジタル化のキーワードでもある「拡張現実」など、一見アートとは関係のなさそうな言葉も、実はアートと関連していることもチェックできます。

現代アートをイラストで「やわらかく」楽しもう!

「めくるめく現代アート イラストで楽しむ世界の作家とキーワード」は私にとってもアートってもっとやわらかく考えていんだと思えたきっかけの本です。

「アート=難しい」というイメージから脱却できれば、アートも日常の楽しみの一つにできます。本書がそのきっかけになったら嬉しいです。

著者:筧菜奈子とは?

筧菜奈子(かけいななこ)さんは1986年生まれの美術/装飾史研究者・作家です。

多摩美術大学美術学部彫刻学科退学、東京藝術大学美術学部芸術学科卒業を経て、京都大学博士(人間・環境学)を取得しています。

専門は現代美術史、装飾史で、現在は東海大学教養学部芸術学科の講師を務めながら研究活動やイラスト執筆、デザイン提供など、幅広い領域で活動されています。

作家としては今回ご紹介する本以外にも、

があります。

筧菜奈子さん|twitter:@kakei_nanako

ABOUT ME
よしてる
東京でアート巡りををしながら「アートの割り切れない楽しさ」を探究している理系男子です。会社員をしながら、週末アートウォッチをしています。 2021年から無理のない範囲でアート作品の購入も始めました。 好きな動物はうずら。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA