ギャラリー
PR

疋田正章「油彩画展-瞳に宿る物語-」|リアルな猫を描いたアート

よしてる
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

今回は疋田正章(ひきだまさあき)さんの展覧会「油彩画展 -瞳に宿る物語-」の模様をご紹介します。

この記事を読むとこんなことが分かります。

  • 疋田正章さんと作品制作について知れる
  • 徹底的な観察により生み出された猫の美しさを感じれる
  • 継続することで生まれる美に触れられる

猫と長く向き合い続けてきている疋田正章さんは、どんなきっかけで画家になり、猫をモチーフに今も作品制作を続けているのでしょうか。

作品も観ながらご紹介していきます!

疋田正章とは?

《香煙》
2020、疋田正章、油彩,キャンバス、1620×1303(F100)

疋田正章(ひきだ まさあき)さんは京都生まれの洋画家です。

理工学部の大学院を中退し画家になった、特殊な経歴を持っています。イラストを描くのはもともと好きで、大学でも美術部だったそうですが、将来の仕事を現実的に考えた時、画家になるという選択肢はなかったそうです。

禅寺での修行体験が転機となり画家へ

ただ、就職もすぐそことなった時期に、「本当に自分のしたいことを考えよう」と考えて、理工学部を休学して7ヶ月間禅寺での修行体験が転機となり、画家となっています

禅寺では毎日何時間も座禅や自給自足の生活、出会った住職さんの教えなどたくさんの出会いがあって、それが転機になっているようです。

モチーフが猫であることの理由

作品制作では、言葉にならない、言葉にする以前の感覚を大切にしながら作品を制作しているそうです。

写実性を追及しているというよりは、持っている感性や美意識を作品で表現している印象があります。

猫は友人から譲り受けたのがきっかけで飼い初め、その気まぐれさや捉えどころのない姿に魅力を感じてから描き始めたそうです。質感を追い求めて描いている猫は、今にも動き出しそうでいて、作者自身の憧憬(しょうけい)が現れているように感じます。

作家自身が心惹かれるものを観て、言葉となる前の感情を描いているからこそ、鑑賞している側も、言葉にでにない美を感じるのかもしれません。

展覧会の模様を観る

今回の展覧会は猫をテーマに、まるでカフェのモダンさを匂わせる雰囲気の作品を展示していました。作品の撮影はこちらの1作品に限られていましたので、こちらをご紹介します。

Pride

《Pride》
2021、疋田正章、油彩,キャンバス、1620×1303(F100)

メインクーンという種類のオス猫です。こちらの猫は、兵庫県にある猫カフェにいる看板猫をモデルに描いています。毛並みのやわらかさ、澄んだ瞳が本当に素敵でした。大型作品なのにどこまでも細やかな線が描かれていて、モデル猫のすべてを投影しているようでした

近くで観るとひげの太さと身体の毛並みの太さに違いがあり、毛並み全体にも動きのある流れがあるのが分かります。

そして、自然と視線は顔の方へ移動していき、猫の瞳に引き込まれます。

凛々しい目はヘーゼル(グリーンからイエローのグラデーション)のようです。

その瞳を観ていると、自分にとって目が輝くような場所にいくことが大事といわれているようで、それができていたらこの猫の瞳のように相手を引き込むような力を生むのではと感じました。

瞳からエネルギーを感じた作品です。

お家で猫の作品の制作過程を観る

  • なかなかギャラリーに鑑賞しに行くのは難しい
  • こんなリアルな猫をどうやって描いているの?

そんな方には、YouTubeで制作過程を観るという楽しみ方もできます。たとえば、会期中に展示していた「ひな」という作品です。

動画の半分くらいの段階で既に作品として完成しているように見えますが、そこから更に線を入れていきます。「神は細部に宿る」という言葉を思い出し、目の届きにくい箇所にまでこだわりが施されていることが分かります。

また、ギャラリーの作家インタビューでも制作過程を紹介しています。こちらは疋田正章さんのクロッキー(短時間で描く写生、速写)もみることができますよ。

ギャラリーのホームページからも作品を観ることができるので、作品を堪能したい方はこちらもご覧ください。

展覧会サブタイトル「瞳に宿る物語」に込められた想い

最後に、展覧会サブタイトルの意味についてみていきましょう。

展覧会のサブタイトルには、猫の瞳の中に、それぞれの物語が宿るようにとの想いを込めて作品制作をしたそうです。

作品の猫の瞳はかなりリアルに描き込まれていますが、実際の猫の瞳は時間や角度によってさまざまな変化があり、とても神秘的なのだそうです。確かに、野良猫をカメラで接写できたときの猫の瞳は、光を反射して綺麗に輝いていました。

野良猫として生活していたこの猫は、瞳が凛々しく、たくましい印象で、さまざまな困難を乗り越えてきたんだろうなと感じました。

作品として描かれた猫の瞳は一体どんな景色をみてきたのか、そして、鑑賞者が猫の瞳を観てどんな景色を思い出したり、連想したりするのか。

サブタイトルからも、作家の想いや鑑賞を楽しむポイントを知ることができます。

まとめ:何かに長く向きあう美しさを知る

今回は疋田正章さんの猫の作品をご紹介しました。

作品鑑賞を通して、猫に長く向き合って作品制作をしてきたからこそ描ける線、瞳があると感じました何かを始めることは簡単でも、続けるのは難しいもの。続けているからこそ見えてくる景色に憧れ(憧憬:しょうけい)を抱きながら、歩んでいく勇気を貰えました。

展示会情報

展覧会名疋田正章 油彩画展 -瞳に宿る物語-
会場Gallery Seek
東京都中央区銀座2-11-18銀座小林ビル1階
会期2021年6月25日(金)~7月4日(日)
開廊時間11:00~19:00 ※最終日は17:00閉場
サイトhttps://s-art-web.com/html/exhibition_2021.html
観覧料無料
作家情報疋田正章(ひきだ まさあき)さん
HP:http://www.masaakihikida.com/
Instagram:@masaaki_hikida

最新情報はInstagramをチェック!

ABOUT ME
よしてる
1993年生まれの会社員。東京を拠点に展覧会を巡りながら「アートの割り切れない楽しさ」をブログで探究してます。2021年から無理のない範囲でアート購入もスタート、コレクション数は25点ほど(2023年11月時点)。
アート数奇は月間1.2万PV(2023年10月時点)。
好きな動物はうずら。
記事URLをコピーしました