初めてのアートコレクションで知っておきたい買い方、注意点をご紹介(おすすめは楽しむためのアート選び)
初めてアート作品をコレクションしてみようと思ってるけど、アートの買い方についての情報が少なくて、どう選んだらいいのかよく分からない。
こうした理由から、アートに興味があっても作品の購入まで至れない人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は20点以上のアートコレクション経験を踏まえ、初めてのアート作品を購入するときに知っておきたい作品の選び方、購入する場所、注意点をご紹介します。
作品購入の前提:コレクションのスタイルは“好きな作品を楽しむ”
本題に入る前に、今回ご紹介する作品購入の前提から合わせておきましょう。
コレクションのスタイルには主に以下の2種類があります。
- 好きな作品を楽しむアートコレクション
- 資産としてのアートコレクション
どちらのコレクションスタイルを主軸とするかで、購入する作品の内容も全く異なるものになります。
本記事では前者の「好きな作品を楽しむアートコレクション」のスタイルを主軸に作品を購入する前提でご紹介します。
作品の選び方は「自分の好きなアート作品」を選ぼう
初めてアートコレクションをする場合は「自分にとって好きだなと思う作品」を選んでみましょう。
例えば、こんな感想を持ったアート作品であれば、選択肢のひとつになるでしょう。
- 観た感じなんだか好きな作品だな
- 感覚的にピンとくる作品だな
- 描かれている内容が素敵に感じるな
「作家、技法、表現」を知り購入検討すると納得度が上がる
自分が良いなと感じた作品があったら即決で購入するのも良いですが、アートは決して安くはありません。
好き嫌いだけでは、購入の判断材料に欠ける場合もあると思います。
そんな時はもう一歩踏み込んで、作家、作品に用いられている技法、表現について知った上で購入を検討すると、より納得のいくアートコレクションに繋げられます。
作品を展示している場所にいるスタッフ(ギャラリスト)や、もし作家本人が在廊している場合は作家自身にも話を聞いてみてください。
きっと、優しく作品について教えてくれるはずです。
例えば、以下のような質問を投げかけてみると、会話の中で作品の魅力をさらに発見できるかもしれません。
- この作品を制作した方はどういう作家なんですか
- どんな技法で制作されているんですか
- どんなことを表現している作品なんですか
ちなみに、この3つは自分でも説明できるように意識すると作品に対しての納得度が上がり、作家の可能性に惚れ込むきっかけになることも。
その結果、作品につけられた値段に対しても納得感を得やすくなります。
購入場所は「プライマリー」が基本
作品の選び方が分かったところで、「好きな作品とはどこで出会えるものなのか」という疑問も湧いてくると思います。
アート作品の購入場所は、ギャラリーなどのプライマリーが基本となります。
プライマリーとは、作家さんの作品を最初に発表する場のことです。
作家の作品をマーケットに広く出回るようにしていく活動を行っているため、言い換えるならば、アーティストの価値を一緒に育てていく場でもあります。
プライマリーは作品を最初に発表する場なので、発表時の価格で作品購入が可能です。
詳細は割愛しますが、例えば若手作家の場合、アートの世界では発表時のおおよその相場が決まっているといわれています。
作家のキャリアや実績によって価格の変動はあるので一概には言えませんが、作家と同世代の人が購入できる価格帯をひとつの基準にすると分かりやすいと思います。
自分の好みが分からない場合は「アートフェア」がおすすめ
自分の好みがいまいち分からないという人におすすめのプライマリーはアートフェアです。全国各地にあるギャラリーがブースを構え一堂に集まる、まさにアートの祭典です。
おすすめの理由は3つ。
- 多数のギャラリーが作品を展示しているため、偶発的に好みの作品と出会いやすい
- 出展には審査があるため、一定の基準をクリアしたギャラリーに厳選されている
- お祭りのような盛り上がりがあるので、カジュアルに参加しやすい
特に、展示作品の数が膨大で、数万円から購入できるアート作品も結構あったりします。予算感に合う作品に巡り合いやすいのが魅力です。
開催都市も東京、大阪、京都、福岡など、各地で開催しているので、最寄りの開催地で参加してみると良い発見があるかもしれません。
ちなみに、国内最大規模はアートフェア東京です。
アートフェア東京についての詳細はこちらをご覧ください。
初めてのアート購入で気をつけたい3つのポイント
アート作品の購入を検討するとき、気をつけたい3つのポイントがあります。
1. 人の勧めや価値があるからという選択基準で選ばない
人から勧められたり、価値があるからという基準でアートを選ぶと、多くの場合、アートコレクションの満足度が下がりやすくなります。
他人にとっての好みや価値観を、自分も気にいるとは限りらないためです。
また、自分で選ばなかった場合、仮にその作品が良いものだとしても作品をコレクションした時の高揚感はいまいち上がりません。
アート作品の購入は、あくまで自分本位で決めましょう。
2. アートは難しくてよく分からなくてOK
「アートは難しくてよく分からない状態でいいのか」と思う人も多いはず。
中には美術史や技法、表現についての知識を身につけてからコレクションを考えようと考える人もいるかもしれません。
私自身も最初、美術史の勉強からアートを知ろうしましたが、結果はほとんど身に付かず、展覧会の作品とどう関連づければいいのかより分からなくなる経験をしました。
こうした、よく分からないから勉強から始めると、アートがつまらないものと感じてしまう可能性があります。
勉強も大切ですが、アートについてはよく分からない状態から初めてのコレクションをしてみるで全然OK。
まずはアートを観たりコレクションをしたりする最初の一段を登ってみて、発見と疑問の螺旋階段を登っていく中で、アートっていいなと感じていくイメージで考えていきましょう。
3. 作家によってはすぐに購入できない作品もある
自分にとってピンときたアート作品を選ぶといっても、作家によってはすぐに購入ができないケースもあります。
特に知名度の高い作家になってくると、購入を希望する人も増えてきます。
そうした場合、いくら予算があっても、コレクター自身がどんなコレクションを構築してきたか、ギャラリーとの信頼関係があるかなどによって、作品をコレクションできるかどうかが決まってくる場合があります。
この理由は、作家さんが生涯に制作できる作品数には限りがある前提を考えると納得ができます。
限られた作品数で作家としての価値を上げていくために、誰にコレクションして欲しいかは作家側も考えているはずです。
そのため、アートコレクター自身も価値あるコレクション先になれるかどうかが大切な要素になってきます。
なかなか簡単な話ではないですが、もしご縁があってコレクションができた時の感動はひとしおです。
ちなみに、ウェイティングリストという、作品購入を順番待ちするケースもあります。
この場合はリストに入れてもらえる場合は時間がかかりますが、作品購入のチャンスが巡ってくるかもしれません。
このような注意点に気をつけつつ、自分が気に入った作品をコレクションし、生活空間に展示したときの高揚感を味わってみてください!
まとめ:初めてのアート作品を買ってみよう
どんなアートコレクターでも、初めてのコレクションは1度きりです。
ひとつのアート作品選びの参考にしていただき、初めてのアートコレクションが素敵なものとなったら嬉しいです。
そして、もしアートをコレクションしたら、ぜひ生活空間に飾ってみてください。
ギャラリーでのアート鑑賞では体験できない、面白い発見や疑問がたくさん待っているはずです。
こうした発見や疑問を一段ずつ登っていく経験をしていく中で、
「アートは難しくて分からない」
から
「アートは難しくて分からないけど面白い」
に変わっていくと思います。
ぜひ、そんな割り切れない面白さのあるアートをコレクションしてみてはいかがでしょうか。
関連リンク
※サムネイル画像の作品は、三嶋りつ恵さんの作品です。