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【2022年GEISAI】カイカイキキ主催のアートの祭典「GEISAI#21」をご紹介

よしてる
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現代美術家の村上隆さん率いるカイカイキキ主催のアートの祭典「GEISAI(げいさい)」。今回は有明にある「東京ビックサイト 南1ホール」で8年ぶりに開催した「GEISAI#21」の模様をご紹介します。

要点だけ知りたい人へ

まずは要点をピックアップ!

要点
  • GEISAI(げいさい)とは、アーティスト村上隆さんが率いるアートの総合商社「カイカイキキ」が主催するアートイベントです。
  • 「GEISAI#21」は、2014年に開催して以来、8年ぶりの開催となりました。
  • 今回の出展ブースは合計207個、作品のジャンルは、現代美術、絵画、彫刻、陶芸の4つというラインナップでした。その中から展示の模様の一部をご紹介します。

それでは、要点の内容を詳しく見ていきましょう!

GEISAIとは?

GEISAI(げいさい)とは、現代美術家の村上隆さんが率いるアートの総合商社「カイカイキキ」が主催するアートイベントで、“芸術ジャンルにおける祭りの創出”を主旨として、日本でのアートマーケットの生成に寄与してきたアートの祭典です。

タイトルのGEISAIは、村上隆さんの出身校でもある東京藝術大学の学園祭「藝祭」をもじっているそうです。日本ならではの熱気ある祭りの風景と芸術とからめていて、大人の真剣な芸術祭という雰囲気を感じます。

鑑賞者は展示作品を購入できるほか、芸術を媒介にした出会いの場となったり、アートコンペの開催やスカウトの場にもなったりと、さまざまな要素を組み込んだイベントとなっています。

「GEISAI#21」は2014年以来、8年ぶりの開催

GEISAIスタッフの法被

GEISAIは2002年〜2014年まで、世界の各所で28回続いたアートイベントでしたが、その後しばらく開催していませんでした。そのため、2022年に開催した「GEISAI#21」は、2014年に開催して以来、8年ぶりの開催となりました。この背景には、長年の開催による参加者のマンネリ化やビジネス上の圧迫があったそうです。

2021年以降の日本でのアートブームを通した意識の変化を受けて、新人アーティストへの期待も込めた開催となったようです。そのためか、参加対象も29歳以下でオリジナル作品を制作しているデビューを目指すアーティストに絞った開催となっていました。

そして、今年はこれまでのGEISAIの流れに加えて、「新人クリエイターの発掘、育成を、僕らカイカイキキの評価基準で行う」という点が大きな目的として加わっています。幅広く審査員を招待する形と比べると、ある種間口の狭いアートコンペとなっていましたが、会場には久しぶりの開催ということもあり多くのアート関係者やコレクターなどが来場し、賞だけではない、さまざまな出会いとチャンスを醸成する場となっている様子でした。

展示作品を鑑賞

会場の模様

今回の出展ブースは合計207個、作品のジャンルは、現代美術、絵画、彫刻、陶芸の4つというラインナップでした。多様な表現の作品と展示ブースの模様をピックアップしてご紹介します。

※ジャンルは主観で分類してます、公式情報ではない点ご了承ください。

現代美術

YONA

展示ブース
YONA
《GESTALT3 @HIROYUKIUSAGI》
YONA、2022、綿,UV/LED レジン

編みぐるみのかわいらしい作品。ゲシュタルトと名付けられた編みぐるみは、ゲシュタルト療法(心理学)の偶像なのだそうです。

吸い込まれそうになる黒く大きな瞳は、瞳孔をブラックホール、白目をホログラムに見立てているそうで、まるで見える全ての光を吸収し、自分ならではの景色を再構成する様子を表しているようでした。

YONAさん|Instagram:@y__o__n__a

oyasumi(おやすみ)

展示ブース
oyasumi
展示ブース
oyasumi

材木や金網などを組み合わせてできた掲示板のようなものに、マスキングテープなどで描いた作品を貼り付けて空間を埋めているようになっていました。床にまで描いた作品が置かれていて、好きな景色で空間をいっぱいにしているようです。

出展ブースはアーティストごとに設営しているので、アーティストの世界観も反映されているのが特徴的です。

少女のモチーフが多く、ミルキーで優しい印象を感じました。

oyasumi(おやすみ)さん|Instagram:@oyasumizacca

CelQue(せるこ)

展示作品
CelQue

細胞が水族館で泳いでいる様子を描いたというデジタル絵画作品。

水彩画で描いたかのように用紙にヨレがあったので、一瞬絵の具による作品かと勘違いしてしまいました。これはバッグの中でよれよれになってしまったのだそうで、そんな偶然性も作品の見え方を変化させていました。

学生時代の細胞培養実験を思い出しつつ、免疫細胞とか確かにこんな感じで見えるんだよなと個人的体験の懐かしみも感じる作品でした。

展示作品
CelQue

額装されたデジタル絵画も素敵でした。

CelQue(せるこ)さん|Twitter:@fghnsdfv

絵画

タカノアヤカ

展示作品
タカノアヤカ

朝の食卓を描いているように見える静物画。休日のゆったりとした雰囲気があり、その中で舞う一通の手紙が一日の物語の始まりを告げているようでした。

展示作品
タカノアヤカ

海にある小さな足場に座る男の子と、それが鏡写しになっているかのように対岸にも同じポーズで座る男の子が描かれた作品。

どちらから真似を始めたのか、シンクロするように格好を真似て、お互いを意識しあっているようです。人の存在があると不思議と意識してしまう、そんな情景を写しているようでした。

タカノアヤカさん|Instagram:@hosikazz00ayaka

HAYATO MACHIDA

展示ブース
HAYATO MACHIDA

お花をモチーフに鮮やかな世界観で描かれた作品。作品に描いている生花は、実際に花瓶に生けたものを撮影して描いているそうです。

《Offense》
HAYATO MACHIDA、2022、Acrylic on canvas、H530 × W530mm

多くある作品の中で、個人的に緑とささやかな花が綺麗だなと感じたのがこちらの作品でした。

花が派手に飾っている訳ではないけれど、野に咲く花のように生けているような印象があり、静かな強さを感じました。

HAYATO MACHIDAさん|Instagram:@hayato_machida_

長田洸明

《双鶴図》
長田洸明

書の「線」から生まれた作品の出展もありました。

墨汁の濃淡で鶴が表現されていて、見た印象では左が“動”、右が“静”の鶴の様子を描いているように見えます。

羽の動きが描く線の動きを通して伝わってきます。

長田洸明(ながた こうめい)さん|Instagram:@komei_shodo

彫刻

佐々木玲奈

展示作品
佐々木玲奈
展示作品
佐々木玲奈
展示作品
佐々木玲奈

3つの作品による連作で、脱皮の過程が表現されているようです。

穏やかな表情から脱皮し現れる顔は怒りを露わにしているようで、木彫ならではの乾燥によるひび割れが、その感情をより色濃く見せているようにも見えます。

サナギが完全変態(メタモルフォーシス)によって蝶となり空を飛べるような、劇的な変態プロセスをヒトは踏めませんが、内面に潜めている感情は一枚殻を破ることで行動に変化を起こせます。

作品からはそんな、脱皮による感情の新陳代謝を感じました。

佐々木玲奈さん|Instagram:@sasasaki_reina

陶芸

宮下卓己

《土人形達》
宮下卓己
《土人形達》
宮下卓己

粘土で制作されたかわいらしい人形の作品。粘土の成形による意図的な行為と、焼きによる火が生み出す偶然性を作品の中に込めているようで、焼き加減によって表情が異なり、色味の違いもバラエティ豊かなものとなっていました。

展示作品
宮下卓己

大きな作品は過去作品とのことで、釉薬(ゆやく)が塗られているため小さな人形たちとはまた違った、造形への探求を感じました。

宮下卓己さん|Instagram:@miyashitatakumi_ceramics

審査員賞は5名が受賞

会期中に、カイカイキキ所属アーティストである8名(青島千穂さん、大谷工作室さん、obさん、くらやえみさん、タカノ綾さん、MADSAKIさん、Mr.さん、村田森さん[50音順])がそれぞれ審査員賞を選定した結果、今回は以下のような結果となりました。

大谷工作室さん、村田森さん、obさんの審査員賞

大谷工作室さん、村田森さん、obさんの審査員賞は共に、ミノリさんが受賞しました。

ミノリさん|Instagram:@minori_360

くらやえみさんの審査員賞

くらやえみさんの審査員賞は、小原若菜さんが受賞しました。

小原若菜さん|Instagram:@10wll

青島千穂さんの審査員賞

青島千穂さんの審査員賞は、ADさんが受賞しました。

ADさん|Instagram:@urannu

タカノ綾さんの審査員賞

タカノ綾さんの審査員賞は2名選出され、久保真理子さん、中島隆誠さんが受賞しました。

久保真理子さん|Instagram:@mkjvtt

中島隆誠さん|Instagram:@syoshi_syoko

また、MADSAKIさん、Mr.さんは該当者無しという結果になりました。

来場者の記念品として“Memorial NFT”の配布も

GEISAI当日には、会場限定で「Memorial NFT」の配布をしていました。108種の異なる背景各色に108種のナンバーを振ったものを組み合わせ、合計11664個のデザインの異なるNFTが用意されていました。

数の設定は、人間の煩悩の数である108とかけているのかもしれません。

最新の文化に興味のある人も会場に立ち寄る仕組みを取り入れていて、時代と連動した取り組みへの挑戦も感じるブースでした。

まとめ

今回は初めてのGEISAIに参加してきました。しばらく開催を見送っていていたGEISAIの開催タイミングに立ち会え、アートフェアとは違った“祭り”を意識させる賑やかなアートイベントでした。

ブースはアーティスト自身で設営しているため、ブースごとに個性が出ていて、まさに真剣な芸術のお祭りという雰囲気でした。

ここから新たな波に乗って、実力をつけていくアーティストが出てくるかもしれないと思うと、数年後が楽しみにもなるイベントだなと感じます。今後の定期開催の予定は無いそうですが、次回開催があった際も更に盛り上がりを見せるイベントになるのではないでしょうか。

展示会情報

展覧会名GEISAI#21
会場東京ビックサイト 南1ホール
東京都江東区有明3丁目11−1 東京国際展示場南展示棟1F
会期2022年8月21日(日)
開廊時間10:00〜17:00
サイトhttps://www.geisai.net/g21/
観覧料無料
関連SNSGEISAI|Instagram:@geisai
Twitter:@GEISAI_Official

最新情報はInstagramをチェック!

ABOUT ME
よしてる
1993年生まれの会社員。東京を拠点に展覧会を巡りながら「アートの割り切れない楽しさ」をブログで探究してます。2021年から無理のない範囲でアート購入もスタート、コレクション数は25点ほど(2023年11月時点)。
アート数奇は月間1.2万PV(2023年10月時点)。
好きな動物はうずら。
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