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「KYNE KAIKAI KIKI」|芯を持ちながら枠を広げる

今回はKYNE(キネ)さんの個展《KYNE KAIKAI KIKI》の模様をご紹介します。

この記事を読むとこんなことが分かります。

・KYNEさんのルーツと作品について知れる
・KYNEさんの新たな試みや、村上隆さんとのコラボ作品を知れる
・芯を持ちながらも枠を広げる大切さを感じれる

では、観ていきましょう!

KYNE(キネ)さんとは

凛とした女性をモノクロで描く

KYNEさんは福岡県出身のアーティストさんです。

大学時代に日本画を学び、また、同時期に70年代にアメリカで生まれたグラフィティというストリートでの表現に出会っています。

時間をかけて制作する日本画と、短時間で描くグラフィティ、この相対する2つのエッセンスを使って一つのキャンバスに作品を描いています。

女性のポートレート作品が有名で、モノクロで描かれた凛とした表情の女性の作品を多く制作しています。

2019年のアートフェア東京で話題に

2019年のアートフェア東京にKYNEさん作品を取り扱うギャラリーである、GALLERY TARGETが作品展示をした際、瞬く間に完売したことが話題になりました。

GALLERY TARGETでは作品販売時に数年間の転売を禁止する契約をしているため、購入後しばらくはセカンダリーマーケットに作品が出てこないという状況が生まれます。

セカンダリーマーケットとは

アーティストの手から離れた作品を手に入れるマーケットのことです。アート・ディーラーやセカンダリー専門のギャラリー、オークション会社であるサザビーズやクリスティーズはセカンダリーマーケットに当たります。
ちなみに、アーティストの新作をギャラリーを通して購入することを「プライマリーマーケット」と呼びます。

 

瞬く間の完売からも予想できますが、ギャラリーによる供給よりコレクターの需要が上回る一方で、アート作品は大量生産できるものでもありません。

よって、一点ものの原画作品だけでなく、版画作品までもがセカンダリーマーケットで高騰しはじめます。

金額で見ると、版画マーケットでは売値が10〜20万円台だったのが、200〜300万円台にまでなっているとか。(Kaikai Kiki Gallery

高騰したアートマーケットの安定化のため、カイカイキキでは2020年秋から、GALLERY TARGETとの共同事業として、Tonari no Zingaroで毎月版画をリリースするプロジェクトを開始していました。

今回の展覧会はそのゴールとなる展示になります。

展覧会《KYNE KAIKAI KIKI》を巡る

KYNEさんのことを知ったところで、さっそく今回の展覧会の模様を観ていきましょう。

村上隆さんとのコラボ作品

KYNEさんのリクエストで制作されたという、村上隆さんとのコラボ作品から観ていきます。

首までを描く作品で、KYNEさんの作品の中でも特徴的な構図です。

他の作品と比べると、口の線がほぼ直線であるためか、心なしか表情が柔らかい印象を受けます。
背景にある花たちの笑顔が、主題となっている女性の印象も柔らかくなっているのかもしれません。

喜怒哀楽を見せないクールさはそのままに、絶妙な柔らかさを見せる女性。
普段はしっかり者の見せる、ふとした素顔を垣間見ているようでした

今回の版画制作プロジェクトのゴールを華やかに飾る、記念の作品にもなる作品です。

2人の人物を描く新たな試み

今回の展覧会では、これまでの首から上を描くという枠から一歩踏み出した、2人の人物を描いた作品が展示されていました。

2人のモデルの構図や目線の流れはKYNEが直感に基づき、指示を出したそうです。

登場人物が増え、かつ女性の上半身を描いていることで女性の仕草をより詳細にとらえることができます。
作品からの情報量が増えて、絵画鑑賞をして感じることのできる要素が増えているような印象がありました。

青い背景とモノクロのくっきりしたこちらの作品の雰囲気が、個人的には好きでした。

清涼感のある青からは青空を連想させ、そこの中にくっきりとした女性が描かれているため、存在感があります。

やや上を向いた視線からも、冷静の中にも常に先を向く姿勢を持っていこうと勇気づけられるものがありました。

多彩な仕草をした作品

円形のキャンバスの作品も4点展示されていました。

こちらは多彩な仕草をしている女性が描かれています。

遊び心を感じながらも、4点すべての女性の視線はまっすぐと鑑賞者に向けられていて、豊かな表現の中でも芯となる部分は一点に絞っている、と語りかけているようでした。

畳の部屋にはバラエティ豊かな版画作品

畳の部屋には原画作品の版画が展示されていました。

版画作品もそのくっきりとした輪郭やシンプルな存在感は健在で、ポップなカラーバリエーションからストリート色の強い作品になっていると感じました。

よく街中にあるグラフィティがポップだから、そう感じるのかもしれません。

また、畳の部屋にある唯一の原画作品は、版画作品と比較すると存在感が違います

原画の価値を認識できます。

まとめ|芯を持ちながら枠を広げる

作品は知っていたもののKYNEさんの作品鑑賞は、個展では私自身初となりました。

今回の版画制作プロジェクトのゴールを華やかに飾ると同時に、これまでの作風から枠を広げるスタートにもなる展覧会だったのかなと感じました。

自分自身にとって譲れない、信念となる部分は一貫していきながらも、変化していく社会や生活環境の上で価値を生み出していくためには、枠を広げてみる経験を積むことも大事であると感じました。

現代アートの最前線でチャレンジしているKYNEさんからリスタートする勇気をもらえる展示でした。

展示会情報

展覧会名KYNE KAIKAI KIKI
会場カイカイキキギャラリー
会期2021年4月9日(金)- 2021年4月28日(水)
開廊時間11:00〜19:00
閉廊日:日曜・月曜・祝日
※入場人数が一定数を超えた場合、入場を制限する場合がございますのでご了承ください。
サイトhttp://gallery-kaikaikiki.com/
観覧料無料
KYNEさん情報オフィシャルウェブサイト:http://kyne.jp/
Instagram:@route3boy
ABOUT ME
よしてる
東京でアート巡りををしながら「アートの割り切れない楽しさ」を探究している理系男子です。会社員をしながら、週末アートウォッチをしています。 2021年から無理のない範囲でアート作品の購入も始めました。 好きな動物はうずら。

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