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平子雄一「Dried and Fresh」|変えられない自然と変わっていく人間の関係性を知る個展をご紹介

よしてる
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現代社会における自然と人間の関係性を問う作品を制作する平子雄一さんの、過去作と新作を一堂に観れるT&Y Projectsのコレクション展をご紹介します。

過去作と新作から自然との関わりについて思考を深め、巨大ピンボールという世代問わず“遊べるアート”がある空間は、大人から子どもまでアートが開かれた空間となっていました。

累計120の展覧会レポートをまとめた、2021年からアートコレクションをしている視点からレポートします。

平子雄一とは?

平子雄一(ひらこ ゆういち)さんは1982年生まれ、岡山県出身の作家です。

2006年にイギリスのウィンブルドン・カレッジ・オブ・アートの絵画専攻を卒業されています。

主な展覧会に

  • 個展「THE NATURE」(2023、The Modern Institute, Aird’s Lane Bricks Space、イギリス・グラスゴー)
  • 個展「平子雄一×練馬区立美術館コレクションinheritance,metamorphosis,rebirth [遺産、変形、再生] 」(2022、練馬区立美術館、東京)
  • 個展「 FOOTPRINTS」(2022、KOTARO NUKAGA、東京)

などがあります。

ロンドン、ロッテルダム、上海、ソウルなど、国外でも精力的に作品を発表しています。

アートの特徴:現代社会における“自然と人間の関係性”を問う作品

平子雄一さんの作品は、植物や自然と人間の共存について、また、その関係性の中で浮上する曖昧さや疑問をテーマに扱っているのが特徴的です。

観葉植物や街路樹、公園に植えられた植物など、人によってコントロールされた植物を「自然」と定義することへの違和感をきっかけに、現代社会における自然と人間との境界線を、作品制作を通して追求しています。

作品はペインティングを中心に、ドローイングや彫刻、インスタレーション、サウンドパフォーマンスなど、多岐にわたります。

平子雄一個展「Dried and Fresh」展示作品をご紹介

今回の展覧会の作品点数は5点と少ない一方で大型作品が多く構成され、平子雄一さんの世界観に包み込まれるような構成となっていました。

自然と人間の関係性に注目しながら、作品を観ていきましょう。

絵画①:重層的な仕掛けを感じる4メートル強の作品

幅4メートル強の迫力ある2021年の作品には40を超えるカラフルな立体作品が並び、情報量に圧倒されます。

植木鉢や花瓶に入った植物や額装された動植物の絵画を見ていると、人間は自然を癒しや鑑賞の対象として切り取り共生していることを映し出しているようです。

賑やかな色彩空間には、他にも重層的な意味合いが仕掛けられていそうで、それを読み解いていくのも面白いでしょう。

絵画②:年代別に比較して観る楽しみ方もできる展覧会

展覧会タイトルの「Dried and Fresh」には、時間が経ち年季の入ったコレクション作品と新鮮な新作の展示という意味合いが含まれているそうです。

そのため、2021年と2023年の作品を比較して作品を味わえるのも、今回のコレクション展のポイント。

新作は用いる色が厳選され、楽器はあっても奏でる人間の不在が印象的に描かれているようです。

個体の存続が優先される自然の中で、楽器は単に物体に見えてきます。

人間が一般的と思う感覚を揺さぶられることで、「夕日+ススキ=秋」を連想させることに対しても思考停止による判断が働いていることを示唆しているようでした。

絵画③:新たな視点を知ると見え方が変わる作品

平子雄一さんの作品によく登場する、頭部が樹木で体が人間のモチーフの肖像画。

肖像が赤みを帯びているのにはしっかりと理由があるようで、チョウの視点から色を選び描いているそうです。

人間は「可視光線」に含まれる色で世界を認識しているのに対し、チョウは人間の目では捉えられない「紫外線」を視認できます。

自然界の生物が新たな視点を知るきっかけを届けてくれる興味深さがありました。

子供の遊び心くすぐる巨大ピンボールの“遊べるアート”も

今回の展覧会はちょうど夏休みの時期にあたり、子どもの好奇心をくすぐる「遊べるアート」も設置されていました。

試行錯誤の上で完成したという2メートル越えの巨大ピンボールは1回500円で遊べ、小さなフィギュアをお土産に持ち帰れるワクワク感も。

遊びという体験を通して、アートが子どもにも触れやすい形で開かれている、良い空間でした。

まとめ:変えられない自然と変わっていく人間

自然と人間の双方向による視点から展開される平子雄一さんの作品から感じたのは、変えられない自然と変わっていく人間の関係性でした。

今はSDGsや環境保護を支持する世の中になり、昔と比べると自然に対しての人間の関わり方は変化しています。

一方で、自然は変わらず個体の存続を全うしていて、人間の力では変えられない存在だからこそ惹かれるものがあり、人間は癒しや鑑賞の対象としているのかもしれません。

平子雄一さんの2021年と2023年の作品の変遷やピンボールからも新たな試みを感じ、考えを深め続ける大切さも教えてくれる魅力を味わえる展示でした。

平子雄一「Dried & Fresh」個展情報

展覧会名T&Y Projects コレクション展「Dried & Fresh」
会期2023年7月5日(水) 〜 9月2日(土)
開廊時間12:00 – 17:00
定休日日・月・祝
サイトhttps://www.ty-projects.com/
観覧料無料
作家情報平子雄一さん|Instagram:@yuichihirako
会場T&Y Projects(Instagram:@tandyprojects
東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex II 4F

参考リンク

  • 平子雄一さんの他展覧会はこちら
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参考書籍

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ABOUT ME
よしてる
1993年生まれの会社員。東京を拠点に展覧会を巡りながら「アートの割り切れない楽しさ」をブログで探究してます。2021年から無理のない範囲でアート購入もスタート、コレクション数は25点ほど(2023年11月時点)。
アート数奇は月間1.2万PV(2023年10月時点)。
好きな動物はうずら。
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