VERDY「RISE ABOVE」|日常の感情を表現したキャラクターたち
VICKやVISTYといったアイコニックなキャラクターたちの生みの親であるVERDY(ヴェルディ)さんの初個展「RISE ABOVE」が、麻布にある「Kaikai Kiki Gallery」にて開催しました。
今回はVERDY(ヴェルディ)さんと展示作品、そして制作の裏側までをレポートします。
要点だけ知りたい人へ
まずは要点をピックアップ!
- VERDY(ヴェルディ)さんは1987年、大阪府生まれのグラフィックアーティスト。
- 「Girls Don’t Cry(ガールズドントクライ)」や「Wasted Youth(ウエステッドユース)」などの大人気プロジェクトを手掛けています。
- 「VICK」はウサギとパンダをミックスしたオリジナルキャラクター。VICKは作家自身の分身だそうで、「日常で感じる感情」が表現されています。
- 展覧会名の「RISE ABOVE」はVERDYさんの座右の銘でもあります。
本記事では展示作品のうち、16作品を写真と共にレポートしています。それでは、要点の内容を詳しく見ていきましょう!
VERDY(ヴェルディ)とは?
VERDY(ヴェルディ)さんは1987年、大阪府生まれのグラフィックアーティストです。
2012年ごろから東京に拠点を移し、イラストレーターやグラフィックデザイナーを抱えるデザイン集団「VK DESIGN WORKS」に所属しています。
2015年ごろから「Girls Don’t Cry(ガールズドントクライ)」や「Wasted Youth(ウエステッドユース)」などの大人気プロジェクトがきっかけとなり、その名を世界に広めます。
VERDYさんの生み出すグラフィックは若者を中心に熱狂的な支持を得ていて、その人気はアイテムを求めて発売日に長蛇の列ができるほどです。
もともとはアーティストになりたいと思い活動を始めたVERDYさんにとって、自身初となる今回の個展はひとつの出発点となっているかもしれません。
オリジナルキャラクター「VICK」
本展ではVERDYさんにとってのアイコンとも言える、ウサギとパンダをミックスしたオリジナルキャラクター「VICK」の作品が登場します。
アイコニックなキャラクターは表情豊かで、喜怒哀楽を分かりやすく変化させています。
このVICKは作家自身の分身なのだそうで、日常で感じる感情を表現しています。
展覧会名「RISE ABOVE」の意味
「RISE ABOVE」とは直訳すると“もっと上へ”という意味になります。
この言葉はVERDYさんが活動を始めた初期のころから座右の銘として大切にしている言葉なのだそうです。
VERDYさんは美大出身ではなく絵のことで分からない部分もあるそうですが、やりたいことを続けてきた結果初個展にもつながったり、憧れの存在でもある村上隆さんにアートのことを教わったりと、やりたいことを形にしています。
その背景にある、今も昔も変わらない「もっと上へ」という大切な言葉をこれからも持ち続けるようにとの想いが込められているように感じます。
「RISE ABOVE」展示作品を鑑賞
それでは、展覧会の模様をみていきましょう!
VICK:多彩な表情でお出迎え
VICK
会場に入ってまず目に入るのが、「VICK」の立体作品です。キャラクターおなじみのピースサインでお出迎えしてくれます。
マットな見た目で、くぼみに合わせてた細部のグラデーションが立体感を際立たせていて、にこだわりが詰まっているように感じます。
その後ろ手には隠すような形で「Girls Don’t Cry」のロゴが刻まれたハートを持っています。
「Girls Don’t Cry」とはVERDYさんの奥さんに向けたプロジェクトで、Tシャツのプレゼントをきっかけに始まったブランドです。
普段明るい奥さんに元気がなかったときに、「泣かないで。いつものように明るくいて」というシンプルなメッセージが浮かんでできたものだそうです。
シンプルながら勇気づける言葉をまるでサプライズで渡す準備をワクワクしながら進めているようで、ハートのみが艶やかなところからも、その気持ちを強く抱いているように感じます。
また、立体作品の平面バージョンも展示してあり、立体との違いを楽しむことができます。
SECRET
次に目に入るのが、2メートルを超える大型のシェイプドキャンバス作品です。
その周りにも、さまざまな表情をしたVICKが展示してあります。
ACCOMPLISHED
SAD
どの感情も包み隠さずに表に出している様子から、過去に経験した嬉しいことから悲しいことまで、それが今の自分をつくっているんだから肯定して明日の一歩を踏み出そうと、訴えているようでした。
VISTY:色を変える楽しさを感じるキャラクター
続いては畳の展示室です。
こちらにはコロナ禍の中で生まれたキャラクター「VISTY」の作品が展示してあります。
VISTY
こちらの立体作品はフィギュアのような見た目になっていて、全体的に艶感をもちつつもぬいぐるみのようなフワフワとした生地感があります。
そのバックにはシルクスクリーンのシェイプドキャンバス作品が3つ並んでいました。
このVISTYの色に特に決まりはなく、「自宅で塗り絵を楽しんでもらえたらと思って作ったキャラクター」なのだそうです。
喜びや痛み、驚きの表情が豊かで、身体の色も変えていくカメレオンのようだなと考えながらみていました。
カメレオンは目ではなく体の皮膚でまわりの色を感じて色を変えますが、塗り絵のように自在に色を変える様子から、そう感じたのかもしれません。
世間の大きな変化へも柔軟に対応しながらも前に進む姿に、元気をもらえます。
アナーキー&ピース:VERDYのシンボル的なロゴマーク
アナーキー&ピース
VERDYさんのInstagramアイコンにもなっている、「アナーキー&ピース」というロゴマークの作品も展示していました。
- アナーキーマーク
- スマイルマーク
- メガネをとったときののび太くんの“3”の目
を組み合わせたロゴマークになっています。
アナーキーマークはVERDYさんのルーツにもあるパンクロックを感じ、その上に描かれたスマイルや“3”の目にお茶目さを感じます。
作品制作の裏側
今回の作品に用いられているシェイプドキャンバスは一般的に業者が作成するものですが、今回のVISTYのシェイプドキャンバスはVISTYさんがオリジナルで作成したモノなのだそうです。
板をキャラクターの形に切って、木枠をみようみまねで作ってみたのだそうで、その過程からもとにかく進んでみる熱量を感じます。
よく見ると、キャンバスの角の部分もやすりで丸みをつけていました。
ちなみに、展示作品のような形まで仕上げるのに2ヶ月を要しているそうです。作品制作の過程を知ると、作品の見方も変わってきますね。
まとめ:ありのままの感情から伝わる温かみ
VERDYさん初の個展を鑑賞していきました。
VERDYさんの作品には、失敗もすぐに笑い話にしてしまうほどのスピード感で、しかも丁寧に制作をしているように感じました。
また、キャラクターが感情をありのままにだしているからこその温かみもあり、感情に従って生きることの大切さを教えてもらえたようでした。
展示会情報
展覧会名 | RISE ABOVE |
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会場 | Kaikai Kiki Gallery(Instagram: @kaikaikikigallery ) 東京都港区元麻布2丁目3−30 クレストビル B1F |
会期 | 2021年11月19日(金)~12月9日(木) ※閉廊日:日曜・月曜・祝日 |
開廊時間 | 11:00~19:00 |
サイト | http://gallery-kaikaikiki.com/ |
観覧料 | 無料 |
作家情報 | VERDY(ヴェルディ)さん|Instagram:@verdy |
※閉廊日:日曜・月曜・祝日
関連リンク
Kaikai Kiki Galleryでは、他にもさまざまなアーティストの展覧会を観ることができます。
本店で展示していた彫刻作品《VICK》は有名なアートコレクターである桶田夫妻によるコレクション「OKETA COLLECTION」にも展示していました。