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GORILLA PARK・三浦光雅・齊藤拓未個展「SOLO SOLO SOLO vol.6」|未知、偶然、記憶と繋がるアートをご紹介

よしてる
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若手作家3名の個展を一堂に観れる企画展があるのをご存知でしょうか。

そんな企画展を継続して開催しているのが、渋谷・biscuit galleryのトリプル個展「SOLO SOLO SOLO」です。

今回は第6回出展作家のGORILLA PARKさん作品の未知な存在感、三浦光雅さん作品の偶然性が生む不思議さ、齊藤拓未さん作品の幼少期の記憶を想起させる、それぞれのアート作品を、累計120の展覧会レポートをまとめた経験と、2021年からアートコレクションをしている視点をもとにご紹介します。

biscuit gallery企画展「SOLO SOLO SOLO」とは?

「SOLO SOLO SOLO」とはbiscuit galleryが企画する展覧会で、若手作家3名がギャラリーの1フロアずつを使うトリプル個展です。

2022年から継続的に企画している個展で、これまでに5回開催されています。

biscuit gallery「SOLO SOLO SOLO」過去の展示作家

vol.1:高尾岳央さん、山中雪乃さん、井上りか子さん
vol.2:杉山日向子さん、鈴木秀尚さん、中風森滋さん
vol.3:新井碧さん、南谷理加さん、西村昂祐さん
vol.4:長谷川彰宏さん、五十嵐大地さん、REMAさん
vol.5:カトウさん、廖元溢さん、木津本麗さん

今回は第6回となる「SOLO SOLO SOLO vol.6」の展示作家とその作品をご紹介します。

GORILLA PARK個展「万華鏡」

GORILLA PARKとは?

GORILLA PARK(ゴリラ パーク)さんは1998年生まれ、埼玉県出身の作家です。

2021年に武蔵野美術大学 造形学部 彫刻学科を卒業、2023年に東京藝術大学 大学院美術研究科 彫刻専攻 修士課程を修了されています。

主な展覧会に

があります。

絵画的な浮き彫りに、彫る前にGORILLA PARKさんが木を通して見えた線を描く、立体から平面へ還元する木彫作品が特徴的です。

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参考にした作品コンセプトはこちら

地球上にある特定のイメージを現実の物質として再構築している。人間が認知することが出来ず、見たことがない物体を、普遍的な素材を使い、人の手で創ろうと模索する。

biscuit gallery|GORILLA PARK コンセプトより引用

GORILLA PARK個展「万華鏡」展示作品をご紹介

作品を真正面から観ると、サワーシュガーのような白い岩絵具で描かれた棒人間ですが、観る位置を変えると、見たことがない物体が浮き上がってきます。

白の岩絵具は実際に観ると風でふき飛んでしまいそうですが、しっかりと定着しているのも不思議に感じます。

浮き彫りの作品にある種の異様さを感じるのは、滑らかな表面とその量感から生物っぽさを感じる一方で、哺乳類とも爬虫類とも判別できない未知感があるからかもしれません。

絶妙に未知な物体を身近な素材で表現するところが印象的です。

チェーンソーで網目上に線を刻み込んだ新作も。

これまでの滑らかさから一転して凹凸による立体感が増す印象で、そこに潜む四角い記号の平面性がより際立って見えます。

また、刻むことによる影響か、木の穏やかな香りも展示空間を彩っていました。

GORILLA PARKさんといえばの、仕掛けを感じる《번⼝》というタイトルの作品。

韓国語と漢字の組み合わせは違和感が残りますが、文字を記号として捉えて言語の境界線を曖昧にしているようにも感じます。

立体と平面、そして記号と、万華鏡のように見え方が変わる展示空間でした。

三浦光雅個展「up to you」

三浦光雅とは?

三浦光雅(みうら こうが)さんは1997年生まれ、東京都出身の作家です。

2021年に京都芸術大学 大学院芸術専攻美術工芸領域を修了されています。

主な展覧会に

  • 個展「スローワーク」(2023、foam contemporary、東京)
  • グループ展「grid2」(2023、biscuit gallery、東京)
  • 個展「come and go」(2022、DMOARTS、大阪)

があります。

偶然性、作為/無作為を主なテーマに、乱数ソフトで作られた指示書をもとに手作業で色を塗り重ねていく絵画作品や、彫刻性を感じる絵画作品も展示していました。

Q
参考にした作品コンセプトはこちら

「偶然性」「作為/無作為」を主なテーマに平面作品を制作。構図や配色といった意思決定の段階において乱数や指示書を用いることによって、制作者の意識的な作為を排除する。このことにより、身体による出力時のブレ、偶然性を純粋に浮かび上がらせる方法をとる。指示に従って機械的に描かれた作品にも固有の表情が生まれるように、淡々とした日々にも偶発性を見出し、イレギュラーな事象を肯定するために制作を続けている。

biscuit gallery|三浦光雅 コンセプトより引用

三浦光雅個展「up to you」展示作品をご紹介

キャンバスの周囲に座標を付番し、線の軌跡と色を乱数ソフトで決めて、手作業で直線を描いた作品

指示書ができた時点で作品はほとんど完成しているとも捉えられる作品に、唯一ある手作業という意思。

その制作方法には武道や茶道のような決まった型を極める要素も感じ、手作業だから生まれる液溜まり、塗りムラなどに人間味が凝縮されているようです。

偶然が描き出す線の奥には淡い青のグラデーションが潜んでいて、作品に奥行きが生まれているように感じます。

偶然を生む乱数が機能する裏側には、座標や色といった条件を指示する偶然を生むための意思決定という側面もあるように感じます。

偶然を生む過程には、人の意志が宿る場合もあることに気づかされます。

今回の展示にはキャンバスから突き出た立体的な作品も。

まるで絵の具が固まる前にキャンバスを寝かせて、重力で描いているように見えます。

キャンバスの縁を観ると青や黄といった色が使われているのが見て取れますが、表面上はほぼ一色に見える作品。

そこに、仮に重力によってつららのような突起がを生んでいると考えると、重力が奥にある様々な色彩を引っ張り出すように見えるのが面白いです。

直線を描いていく作品とは一見すると全く異なる作品ですが、コントロールできない偶然性が共通して潜んでいるようでした。

齊藤拓未個展「流れ落ちる時のなかで」

齊藤拓未とは?

齊藤拓未(さいとう たくみ)さんは1996年生まれ、東京都出身の作家です。

2018年に武蔵野美術大学 造形学部日本画学科を卒業、2020年に武蔵野美術大学 造形研究科修士課程美術専攻日本画コースを修了されています。

主な展覧会に

  • 二人展「暮れなずむ日々」(2023、marienkafer、東京)
  • グループ展「はつはる」(2023、新宿眼科画廊、東京)
  • 個展 「静かな庭」(2022、GALLERY MoMo Projects、東京)

があります。

子供の頃の感覚に目を向け、それを記録するように描いた絵画作品が特徴的です。

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参考にした作品コンセプトはこちら

生活の中でみる景色や物によって、忘れ去られていたように思える記憶や感覚が表れる事があり、それらは自己を形成する大事な部分だと感じる。
見過ごしても問題はないようなとるにたらないできごとや、ふとした時によみがえってくる子供の頃の感覚に目を向け、それらを記録するように制作している。

biscuit gallery|齊藤拓未 コンセプトより引用

齊藤拓未個展「流れ落ちる時のなかで」展示作品をご紹介

もの寂しさ漂う情景は忘れていた何気ない日々に、さりげない光を当てているようです。

背景の茂った木のブレ感が動きを見せつつ、帽子を被った少女たちは会話を楽しむでもなくじっとしていて、自分だけの時間に浸っているように映ります

街を歩けば目にしそうな景色たちは、見慣れていくと視線は向けても無意識に見なくなる危うさを訴えているようです。

全体的に日陰のような暗めの色彩で平面的な表現からも、自ら光を当てなくなった場所や記憶が映し出されているような感覚になります。

トンボを捕まえてまじまじと観察する表情や、誰かにとってのそんな幼少期の思い出が残っていそうな風景が自分だけの記憶と共鳴して、記憶を呼び起こす感覚になります。

また、展示空間にも目を向けると、美術館のように高さを合わせず、奔放に配置されているようでした。

視線を色んな方向へ走らせる度に、真新しく街を見なくなったことに気づかされます。

中には床に置く展示方法もあり、しゃがんで作品を観に行くことで、自然と子供目線へと誘われます。

SNSが発達し映えるものに意識が集まる時代に対抗するように、幼少期の目線や記憶に目を向けて自分ならではの関心を発見できるよう促してくれているようでした。

本展に向けた小林健さんのテキストの言葉選びが素敵でした、こちらもぜひ。

まとめ:幼少期の冒険のワクワク感を想起する展示

GORILLA PARKさん、三浦光雅さん、齊藤拓未さんのトプル個展「SOLO SOLO SOLO vol.6」を観て感じたのは、子供の頃に感じた冒険のワクワク感でした。

GORILLA PARKさんの作品から未知なものに出会い、
三浦光雅さんの作品から偶然の生む不思議さに触れ、
齊藤拓未さん作品から自分だけの大切な記憶を想起する。

そんな体験が、ちょうど夏休みシーズンとも重なる展示だったこともあり、幼少期の見るもの全てが大発見だったときの楽しさと重なるものがありました。

冒険をするワクワク感に浸れる展覧会に、足を運んでみてはいかがでしょうか。

「SOLO SOLO SOLO vol.6」個展情報

展覧会名GORILLA PARK×三浦光雅×齊藤拓未 個展「SOLO SOLO SOLO vol.6」
├1F:GORILLA PARK 個展「万華鏡」
├2F:三浦光雅 個展「up to you」
└3F:齊藤拓未 個展「流れ落ちる時のなかで」
会期2023年7月20日(木) 〜 8月6日(日)
開廊時間13:00 – 19:00
定休日月火水
サイトhttps://biscuitgallery.com/solosolosolovol-6/
観覧料無料
作家情報GORILLA PARKさん|Instagram:@gorilla___park
三浦光雅さん|Instagram:@koga_miura
齊藤拓未さん|Instagram:@saito.takumi.e
会場biscuit gallery(Instagram:@biscuit_gallery
東京都渋谷区松濤1丁目28−8 Biscuitビル

関連リンク

  • GORILLA PARKさんの過去展示はこちら
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1993年生まれの会社員。東京を拠点に展覧会を巡りながら「アートの割り切れない楽しさ」をブログで探究してます。2021年から無理のない範囲でアート購入もスタート、コレクション数は25点ほど(2023年11月時点)。
アート数奇は月間1.2万PV(2023年10月時点)。
好きな動物はうずら。
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